いつもながらの展開なのに、いつの間にか見てしまう2時間ドラマ。常に視聴率上位にランクインする人気の陰には、計算し尽くされた“仕掛け”があった。
中高年への配慮から、馴染みの薄い用語や職業は使わない。渡瀬恒彦が主役を務める『十津川警部』シリーズ(TBS系)、水谷豊が主役を務める『探偵・左文字進』シリーズ(同)などを手がけるプロデューサーの森下和清さんの話。
「横文字の小難しい用語は使いませんし、職業設定も、証券会社やIT会社といった女性に馴染みが薄い会社ではなく、医療界や芸能界、エステ業界といった馴染みのある分野を選ぶようにしています」
さらに中高年への気配りは、例えばこんなところにも。フジテレビ編成センター編成部の太田大さんが語る。
「わかりにくい専門用語がどうしても必要な場合は、出演者のセリフの中で自然に解説できるようにしています。例えば山村美紗作品だと、山村紅葉さん(52才)に『それ、どういうこと?』と聞いてもらう役を担っていただくことが多いです」
放送開始から1時間前後のところで、必ずといっていいほど登場する捜査本部の「ホワイトボード」。視聴者が頭の整理をしたり、途中で席を外した人でもそれまでのストーリー展開や事件の概要がわかるように、ホワイトボードを使って人物写真と相関図で説明するのがお決まり。特にテレ東では、その点に気を配っているという。『水曜ミステリー9』を統括するテレビ東京ドラマ制作室長の小川治さんが明かす。
「実はこの『水ミス』の時間帯には、テレ朝で1時間の刑事ドラマをやっていて、視聴者層も重なっています。3月までは『相棒』でしたから強敵でした。そこで、21時50分過ぎに『相棒』が終わった後、途中からでも『水ミス』を見てもらえるよう、21時55分頃にホワイトボードを出すようにしたんです」
ホワイトボードで不充分な時には、大きな地図で事件が起きた場所を整理することも。
「列車の時刻を説明するときには、役者さんのセリフだけでなく、例えば『上野駅○時○分』というように、スーパーテロップを出して視聴者のかたにわかりやすくします」(前出のテレ東・小川さん)
※女性セブン2013年4月25日号