昨年9月に東京・六本木のクラブで起きた飲食店経営者襲撃事件。その後、関係者らが逮捕されて一件落着の気配だが、捜査現場から訝る声も出ている。ジャーナリストの須田慎一郎氏が解説する。
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「上層部の強い意向もあって、例の『六本木フラワー事件』を巡る捜査は、その背景事情を解明することなく終結する方向です」(警視庁関係者)
昨年9月、東京・六本木のクラブ「フラワー」で、飲食店経営者が金属バットで武装した集団に殴られ殺害された事件は記憶に新しい。その後の捜査によって複数の「関東連合」関係者が逮捕され、そのうち6人が起訴されることとなった。
「事件を主謀したと目されるM容疑者は、依然として海外に逃亡中で、まったく行方はつかめていません。つまり事件の全容解明にはほど遠い状況にあると言っていいでしょう」(前出の警視庁関係者)
これまでの捜査では、殺された飲食店経営者は、人違いで襲撃を受けたことがほぼ明らかになっている。
ならば警察としては、本当は誰を狙って、その目的は何だったのか、というところまで解明する必要があるだろう。
「どうも今回の事件の背景には、某広域暴力団の内部抗争の側面が色濃くあるということが徐々に明らかになってきた。それというのも逃亡中のM容疑者は、その某広域暴力団の構成員だった可能性が浮上しているからだ。つまり単なる半グレ集団が引き起こした事件ではない、ということだ」(別の警視庁関係者)
つまり今回の事件には、何らかの形で“組織の意向”が働いた可能性があるということに他ならない。
にもかかわらず、一連の事件捜査は、どうやら中途半端な形で幕引きが図られそうな気配だ。
「現場では、何らかの政治的な圧力があったのかと訝る声があがっている」(前出・警視庁関係者)
※SAPIO2013年5月号