初がつおの季節が到来! NHK『今日の料理』『あさイチ』でもおなじみの“ばぁば”こと料理研究家・鈴木登紀子さん(89才)は一体どんなかつお料理を作るのか?
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かつおは節にしておろします。背節と腹節とに分けますので、一尾から四節とれることになります。
つやつやと瑞々しい身はすぐにおつくりにして、たっぷりの薬味と溶き和がらしでいただきます。和がらしはただ辛いだけでなく独特のうまみがあって、かつおと相性がよいのです。また、香辛料のなかでももっとも殺菌力が強いといわれており、傷みやすいかつおを、「女房を質に入れてでも」食べたかった江戸っ子たちの知恵が生きているといえましょう。
おつくりにして余ったら、自家製のなまり節に。塩をほんの少しパラパラとふり、強火で30分ほど蒸します。蒸したてを箸で粗くむしり、おろし大根としょうが、せん切りにしたみょうがと和えますと、まさに初夏の味わい。焼き豆腐と煮たり、キャベツやなすと煮たり、子供さんにはツナ缶代わりに使うのもよろしいの。
そして、忘れてはならないのがかつおのたたき。本場・土佐では、わらを燃やし、その香りを移しながら焼き目をつけるのが伝統ですが、ご自宅でも金串があれば簡単にできます。
節におろしたかつおは血合いを除き、金串5本を皮目に近く末広に、手元を交差して打ちます。軽く塩をしてコンロの直火にかざし、皮目に焼き目がつくまで炙ります。返してもう片面の身も同様に。白っぽくなったらすぐに氷水にとって冷やします。
かつおの水けをよく拭き取って、5~6mm厚さに切ります。レモン汁を少量ふり、おろしにんにく、しょうがを一面にのせ、小口切りにしたあさつき(または小ねぎ)をたっぷり散らして包丁の背でたたきます。お皿に盛り、好みのけんやつまを彩りよく盛り合わせて、しっかり冷やしてお召し上がりくださいませ。
※女性セブン2013年4月25日号