中国ではタブーとなっている1989年の天安門事件の再評価を求める集会や犠牲者の追悼式が4月1日、河北省正定県で行なわれていたことが分かった。犠牲者の追悼式が公に行われたのは事件後、24年間で初めて。しかも、実施された正定県は習近平国家主席の地方勤務の初任地だけに、習主席が天安門事件再評価に乗り出した動きとの見方もある。
米国を拠点とする中国ニュースウェブサイト「博訊(ボシュン)」によると、この集会や追悼式は事件当時、広東省で民主化運動に関わった活動家数人が主催した。中国では3日から6日まで、日本のお彼岸に当たる「清明節」で、犠牲者の霊を弔うため、正定県の葬儀場で、追悼用の祭壇をつくり、横断幕などを掲げて、民衆の参加を求めた。
しかし、式典の開催が中国当局に知られることになり、主催者の一人は式典会場に入る前に身柄を拘束されたが、追悼式は警察官らが見守るなか実施されたという。
共産党独裁下の中国本土でタブーとされる同事件の追悼式が開催されるのは異例だが、習近平主席の父親で副首相も務めた習仲勲氏は生前、民主化運動に理解を示しており、天安門事件で失脚した趙紫陽・元総書記の葬儀には習家の追悼の花輪が掲げられたほどだった。
このため、今回の追悼式典を計画した活動家らは「習近平国家主席が地方で政治キャリアを積む出発点として1980年代に赴任した同県を開催地に選んだ」と語っているという。
「博訊」は「今回の追悼式が警官の立ち会いの下で平穏に行なわれたことで、習主席の意向が反映されているとの見方もある」と指摘。香港誌「臉譜」最新号は習近平主席が在任中に事件の名誉回復を図る可能性についての特集記事を組んでいる。