この春、角界の2人の“金の卵”が、揃って埼玉栄高に入学した。 今年1月に亡くなった元横綱・大鵬の孫で、元関脇・貴闘力の二男・納谷幸林(なや・たかもり)と、元横綱・琴櫻(2007年没)の孫で、佐渡ヶ嶽親方(元関脇・琴ノ若)の長男・鎌谷将且である。
埼玉栄高は昨年も国体の団体戦で優勝した強豪校であり、高校相撲界の名門。現在、幕内で関脇を張る豪栄道をはじめ、妙義龍、豊真将らのOBを輩出したことでも知られている。
貴闘力には、早くから期待された4 人の息子がいた。
「そのうち長男はプロレスへ進んだが、幸林君は中学1 年から栄高の稽古に参加、165cm・90kgだった体は3年間で180cm・130kgまで大きくなりました。三男の幸之助君(中2)、四男の幸成君(小6)も、相撲の道に進むようです」(スポーツ紙記者)
一方の鎌谷は2006年、小学3年生だった時に行なわれた父親・琴ノ若の断髪式の時、まわしを締めて土俵へ上がり、父の引退相撲の相手をして話題となった。そこで琴ノ若が、
「いずれ息子が、同じ琴ノ若の四股名で土俵に上がります」と宣言、会場の涙を誘っている。その父の言葉の実現に向け、鎌谷は中学から埼玉栄で相撲に打ち込んだ。現在は、182cm・132kgの体格を誇る。
2人とも、この2月に有明コロシアムで行なわれた白鵬杯に出場、納谷はベスト16、鎌谷は準決勝にまで駒を進めている。実力も申し分ない。
長く明るい話題のない大相撲にとって、この2人はまさに救世主のような存在である。当然角界が放っておくはずはなく、
「3年後、高校卒業と同時に納谷君は貴乃花部屋に、鎌谷君は佐渡ヶ嶽部屋に入門すると見られている」(前出・記者)と、すでに青田買いが行なわれているという。
当の本人たちもやる気満々。
「おじいちゃんに少しでも近づけるように頑張りたい」(納谷)
「おじいちゃんとお父さんのような力士になって、レギュラーを取りたい」(鎌谷)
若貴のような相撲ブーム再燃となるか。国技の未来は、まだ若い2人の少年に託されているのかもしれない。
※週刊ポスト2013年4月26日号