日本のメディアが報じない中国の実態、現地の情勢に詳しいジャーナリスト・富坂聰氏がレポートする。
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このところ中国の話題をさらっているテーマの一つが刑務所の問題だ。かつて日本でも看守による暴力がクローズアップされたことがあったが、中国の問題は「ホースで下半身目掛けて放水した」といった生易しい問題ではない。
まずは刑務所の腐敗問題である。
4月16日付の『新京報』が社説で扱っていることでも話題性は伝わってくるが、要するに刑務官が受刑者の身内から金をもらっているという問題だ。
受刑者の刑務所内での待遇は家族や親族が用意した賄賂の額次第というわけだ。言い換えれば、賄賂が用意できない受刑者は、とにかく地獄を見るとみて間違いない。まさに地獄の沙汰も金次第ということだ。
もともと中国の刑務所は、「自由に出入りしている受刑者がいる」など信じられない話が常に付きまとう世界だ。これまでメディアが放っておいたことこそ奇跡というほかないほどの無法地帯だった。
だが、このところの話題となっているのはいわゆる正規の刑務所ではなく、労働教育所と呼ばれる施設である。「強制労働」などの言葉でイメージされる場所で、軽度の窃盗など“刑務所未満”の犯罪者が送られてくるのが一般的だ。
刑務所未満と書けば環境的にも比較的恵まれたイメージを持たれがちだが、今回暴露された問題は、もはや現在の出来事とは思われないほど悲惨なものだった。
というのも、問題となった大連の馬三家女性労働教育所では、ありとあらゆる拷問の器具がそろえられ、日夜蛮行が繰り返されていたというのだ。なかには清の時代の拷問椅子が使われたこともあっという。
まるで映画のワンシーンのようでにわかには信じ難いのだが、中国ではいま、正式に調査委員会が設立され、間もなく本格的な調査も行われようとしているという。
驚いたのは問題が発覚するまでのプロセスである。日々繰り返された拷問の実態をメモした小さな紙片をビニールに包み、それを女性の陰部に隠して持ちたしたというのだ。
ちょっとやそっとでは驚かない中国人も今回のニュースにはさすがに驚いたという。