ビジネス

株価上昇期待高いPR会社 「アジアでNo.1目指す」と同社社長

 百聞は一見にしかず──。どんな銘柄であっても決算資料などで公表されているデータだけでは、その潜在的な成長力を判断するのは難しい。だからこそ自ら企業訪問を繰り返すのが、グローバルリンクアドバイザーズ代表取締役・戸松信博氏の銘柄分析スタイルだ。ここでは、戸松氏が注目の成長ピカイチ企業を緊急訪問。経営陣に直接話を聞き、大化けポテンシャルの可能性を探った。

 * * *
 中国株への投資をきっかけに資産運用という世界に入った私は、これまで中国をはじめベトナムやラオス、カンボジアなどで数々の現地企業を直接訪問し、銘柄分析を繰り返してきた。経営陣への直撃インタビューはもちろん、メーカーならその製品を実際に使ってみるなどして、私の目と耳で実際に感じたことも投資判断の材料としてきた。

 もちろんその手法は「日本株」にも当てはまる。そこで、今回『マネーポスト』誌春号で紹介した大化け期待銘柄の中から気になる企業を直接訪問してみた。

 まずは、ベクトル(東証マザーズ・6058)である。同社は独立系では最大手のPR会社といわれるが、訪問するまでは、この不況下で企業の広告予算が減少する中、PRという事業にどこまで将来性があるのかという疑問もあった。しかし、同社のビジネスはそれとは一線を画すものだった。

 最近では情報や媒体が多様化し、企業側が多額の費用をかけて広告展開しても、思うような効果を得られなくなってきている。それよりもテレビ番組で紹介してもらったり、記事などで取り上げられたりした方が効果的なケースが多い。

 同社はクライアントから依頼を受け、そのような戦略PRを行なう企業である。しかも企業側の負担は一般的な広告よりも安価で済むため、この不景気の中、できるだけ広告コストを削減したい企業のニーズにもマッチしているといえよう。

 さらにグループ内には数多くのクライアントを確保し、国内最大級のプレスリリース配信サイトも有している。このような仕組みによって、顧客企業から継続的な依頼が期待できるのだ。

 同社の西江肇司社長が「われわれはみなさんが利用できる仕組みをつくる“インフラ屋”であり、一度積み上げたルートはなかなか崩れるものではありません」と胸を張るように、いわば「積み上げ型」のビジネスといえる。実際、プレスリリースを配信する「PR TIMES」の取引社数は昨年8月時点で累計4000社を突破、その後3か月で350社を超える新たな顧客企業を獲得しているという。

 このように、ネットを駆使したIT企業の側面も持つため、コストが比較的一定で利益率が高い。また、有利子負債が少なく、自己資本比率が高いため、売り上げの伸びがそのまま利益に直結するような財務体質も強みといえるだろう。

 何より注目は「成長性」にある。広告市場の規模が6兆円ともいわれるのに対し、PR市場はせいぜい800億円にすぎず、拡大の余地はまだまだある。同社のPR事業も「少なくともあと5~10年は年25%程度の成長ペースが続くのではないか」と西江社長はみる。

 海外展開も積極的だ。すでに中国やインドネシア、シンガポールなどに拠点を築いており、「今後5年で海外売上高比率を日本より高め、アジアでナンバーワンのPR会社になることが目標です」(西江社長)という。

 そもそも利益率が高いだけに、売り上げの伸びを上回る利益成長率を達成できる可能性は高い。通期(2013年2月期)では売上高を26.9%増、経常利益を43.6%増、純利益を28.7%増と計画しており、これを達成した場合、予想PER(株価収益率)は約16倍。第4四半期は季節的に利益が集中するようで、上ブレも期待できるだろう。

※マネーポスト2013年春号

関連キーワード

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン