日本体育大学(以下、日体大)がこれまで輩出してきた五輪メダリストは数知れず。過去を遡れば、メキシコ、ミュンヘン、モントリオールと3大会連続で体操男子団体で金メダルを獲得した塚原光男、バルセロナで銀、アトランタで銅メダルを獲ったマラソンの有森裕子、最近でも水泳の北島康介や体操の内村航平、なでしこジャパンの川澄奈穂美ら挙げればキリがないほどだ。
とはいえ、もちろん学生全員が五輪を目指しているわけではない。4年生の9割が教職課程を履修しており、教師を志す学生が圧倒的に多い。次いで一般企業や公務員志望者となる。
「近年では『忍耐力がある』『コミュニケーション能力に長けている』と体育会系出身者を重視する企業も多く、本校の卒業生に期待を寄せてくれる企業の人事担当者も少なくありません」(学生支援センター)
そういう意味ではこの春に新設された、児童スポーツ教育学部も然り。同学部には、昨年のロンドン五輪体操女子代表の田中理恵も、教員として名を連ねている。児童期の体育教育を適切に行なう指導者を育成するものだが、これも近年、子供の体力・運動能力が低下傾向にあるという時代のニーズに応える形で誕生した。
今後はモータースポーツの分野にも目を向けているようだ。自動車メーカーの協力を受けて動体視力、運動能力が長けた学生をドライバーとして養成するという。いつか日体大からF1レーサーが誕生するかもしれない。
撮影■江森康之
※週刊ポスト2013年4月26日号