今年2月に、東洋大学の就職活動中の学生が「世界一即戦力な男・菊池良」という自己PRサイトを立ち上げ、ネット上で話題になったように、就職氷河期の就活生たちは他人と差別化するために独自の戦略で自己PRを行なっている。
現在就職活動中の東大大学院生・A氏(24歳)によると、「集団面接では毎回あるバトルが繰り広げられている」という。いったいどういったバトルなのか。
「毎回集団面接では、“盛り合戦”が繰り広げられていますね(笑)。この間受けた企業では、隣の席の学生が開口一番に『自分はインドの企業にインターンをした経験を通じて……』と言い始めたので、うわぁまたか、と思いました。
実は、他社の面接でも同じようなことをいっている学生がいたので、『みんなどれだけインドに行ってるんだよ!』と内心ツッコミ入れてしまいました。でも、そこで応戦して自分もPRを“盛って”しまうんですよね。さすがに行ってもいない『インドに行きました』とは言えませんが、こうやって、どんどん学生の間に負のスパイラルが起きている感じです」(A氏)
A氏によると、最近の就活面接での“盛り”トレンドは「インドに行った」だというが、それ以外にも様々な“盛りPR”がある。昨年第一志望の企業から内定をもらったというB氏(24歳・ネット企業勤務)は、こう語る。
「自分は学生時代に麻雀とバンドしかやっていなかったので、本当に話すことがなかったんです。なので、無理矢理、『麻雀からは相手の心を見抜く能力を、バンド活動からはコミュニケーション能力を培いました』と、めちゃくちゃ話を盛りましたね(笑)。実際、どっちの能力も一切身に付きませんでしたけど……」(B氏)
面接官は、学生の“盛り”PRをどこまで見抜いているか。