西川文二氏は、1957年生まれ。主宰するCan! Do! Pet Dog Schoolで科学的な理論に基づく犬のしつけを指導している。その西川氏が、ペットとアレルギーについての意外なデータを紹介する。
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どうなんでしょう? 花粉のピークはもうすぎたんですかね。私めは、花粉症ではないもんで、何ともわかりませんが。
花粉症はアレルギーの一種ってことで、今回はアレルギーとペットのお話をば。あ、それもですね、アレルギーにペットは禁物っていう、よくある話じゃなくて、その逆。ペットを飼うと、アレルギー予防になるって話。
「ぜんそくほかアレルギー性鼻炎や花粉症の予防にもペットが有効」。こんな発表を英ウォリック大学のマクニコラス博士が、10年以上前にしてる。
5年ほど前には、オーストリアの大学などの研究チームが、家畜小屋に出入りしてる子どもがアレルギーになりにくく、調査の結果、それはエンドトキシンなる物質の影響ってことを報告してる。
エンドトキシンってのは、大腸菌などの細菌を被ってて、細菌が死んだ後に遊離される物質。家畜の糞に含まれてるから、家畜小屋にはそれが、わんさか浮遊してる。
人間、生まれてしばらくは免疫機能が未発達で、igE型抗体にも細菌型抗体にもなりうる未成熟な免疫細胞を多く持ってるんだと。
で、この細菌の抜け殻のようなエンドトキシンの多い環境に育つと、細菌型抗体を多く持ち、相対的にigE型抗体が少ない、すなわちアレルギーになりにくい体になる、ってことらしい。
家の中に、猫や犬など2匹以上の動物がいると喘息やアレルギーになりにくい、なんて報告もある。
犬も猫も、ウォシュ○ットを使うわけでも、毎日風呂に入るわけでもない。飼ってる家は、そうでない家の中よりも、エンドトキシンの量は当然多いはずですからね。
えっ、私めが花粉症でないのは、エンドトキシンの多い、すなわち不衛生な環境で育ったからだろって? あらま、そうきたか。そういう見方もできるわな、確かに。
※週刊ポスト2013年4月26日号