スーパーやデパートの果物売り場は、春は多種多様なイチゴで真っ赤に彩られる。おなじみの「とちおとめ」や海外でも人気の「あまおう」、酸味が印象的な「紅ほっぺ」など、並ぶ品種が多すぎて、どれがどう違うのか正直なところわからない状況だ。そんななか、イチゴを抱えたリカちゃんがじっとこちらを見つめるような姿がパッケージにプリントされた「さがほのか」には、思わず手に取ってしまう印象の強さがある。
「青果物にイメージキャラクターというのは、確かに珍しい例です」と、リカちゃんが持つ「さがほのか」PR担当のJAさが園芸部園芸販売課、成平さんは言う。
最近こそ熊本県の「くまもん」のようなご当地キャラが、その地域の特産品をアピールする例はある。しかし、リカちゃんにイメージキャラクターとなってもらった2007年11月にはまだ、かなり特別なことだった。
全国で様々なイチゴの新品種が開発されるなか、「さがほのか」の認知度をあげるにはまず、味わってもらわないとならない。だが、あまりにたくさん種類を並べられると、なじみ薄い種類は手にとってもらえない。販売所で少しでも印象に残るPRをと考え、ちょうど発売40周年を迎えていたリカちゃんに、イメージキャラクターとなってほしいとお願いした。
「リカちゃんは甘いものが好きということと、『さがほのか』という名前がかわいらしいので、リカちゃんのイメージにぴったりですねと言っていただきました。今年は初めて、お母さんも一緒にPRしてもらっています。
『さがほのか』は全国で2番目に多く栽培されている品種です。酸味が少なく、みずみずしいので小さなお子さんに食べやすい。栽培地が九州に多いので、関東にはまだ出荷が少ないですが、リカちゃんがPRすることで少しでも知ってもらえればと願っています」(成平さん)
男性である成平さんは、最初はリカちゃんがPRを担当することの影響について想像がつかなかったそうだ。ところが、リカちゃんの姿に気づいて「さがほのか」を手にとっていく母子連れが多く、女性への訴求力の高さに驚かされたという。
地元の佐賀県では、ポスターやパッケージだけでなく、リカちゃんの姿を描いたピンクのラッピングカーが走ってPR活動を行っている。リカちゃんの誕生日でもある5月3日から始まる大おもちゃ博(東京、品川プリンスホテルで開催)には、その車でお祝いに駆けつけようと計画しているところだ。
イメージキャラクター就任から今年で6年目、3年契約の2期目が終わる。リカちゃんはかわいらしい姿でまじめに「さがほのか」のPRをしてきた。キャンペーンガールとしての働きぶりは素晴らしく、元祖国民的アイドルと呼べる清らかさと愛らしさに「スキャンダルの心配はありません」とJAさがも全幅の信頼を置いている。来年以降も引き続き、イメージキャラクターをお願いしたいと考えているが、契約更新は「リカちゃんと相談して」(成平さん)決めることになるそうだ。