日本の株式市場はアベノミクス効果で右肩上がりを続けている。まだバブルとはいえないとの指摘もあるが、一方、「アベノミクス相場はそう遠くないうちに終わる可能性がある」と厳しい見方をするのは、『ぐっちーさんの本当は凄い日本経済入門』などのベストセラーを持つ投資銀行家の山口正洋氏。
その相場の中でどうやって儲けるか。
「円安によって儲かるのはほんの一握りの企業であり、日本経済全体にとっては輸入コストが増加するなどダメージが小さくない。そうした中では、どんな事態に見舞われてもへこたれない、現金を多く持つ『キャッシュリッチ企業』が強い」
例えば企業がため込んできた内部留保ランキングで1位と2位を占めるトヨタ自動車やホンダなどは、株価が下落しても余剰資金を自社株買いなどに向けることができると分析する。
「また、簡単に真似できない、オンリーワンでメイド・イン・ジャパンの技術力やブランド力を持つ企業、例えばコマツやファナックなども同様に底堅いと考えています」
加えて、山口氏は投資する際に銘柄選びだけではなく「買い方」に注意を払うべきだと語る。
「著名投資家のウォーレン・バフェット氏がそうであるように、20年、30年という長期的視点で資産形成するためには、目の前の値動きに一喜一憂せず、長期でもあまり大きく下がらずに安心して持っていられる銘柄を少しずつ買い増していく手法をお勧めします。毎月同じ金額を投じて、株価が安くなった時には多く、高くなった時には少なく買う『ドルコスト平均法』を用いるのが一つの手です」
※SAPIO2013年5月号