吉本興業の“お家騒動”が勃発すれば渦中の人物として登場し、暴力団との“黒い交際”もたびたび取り沙汰される中田カウス(63)。その芸人に、大阪府警が頭を下げるという事態が発生していたのである。顛末を知る府警関係者がいう。
「4月6日、大阪・堺市で『春の全国交通安全運動』の関連イベントが開かれる予定だったんですが、直前に急遽として開催中止になったんです。このイベントに中田カウス・ボタンが漫才を披露することになっていました。イベントのわずか2日前でのドタキャン。その後、大阪府警から吉本に出演取り消しの連絡が入り、お詫びのために府警幹部が吉本を訪れたそうです」
騒動は、イベント後に予定されていた交通安全に関連した表彰式の中止にまで発展した。府警は関係各所に謝罪に赴いたという。吉本興業関係者は語る。
「警察は、あくまで“私ども警察側の問題でして……”と語るのみで、はっきりした理由は明らかにされませんでした。イベント自体が中止になるなんてよっぽどのこと。一時は『所轄警察に不祥事があったのでは』なんて声も飛び交い、大手各紙もずいぶんと取材を重ねたようですね」
真相はどこにあるのか。原因はイベントにカウスを起用していたから、とは大阪府警担当記者である。
「所轄の警察署が、イベントの具体的な内容を府警本部に届け出た際、“なんでカウスをゲストに呼んどるんや! アイツはアカンに決まっとるやろ!”となったらしい。まァ、これまでのカウスと大阪府警の関係を考えればそれは当然ですけどね」
両者には、長年にわたる因縁がある。
「2007年には、吉本興業のお家騒動に絡んでの中邨秀雄・元会長への恐喝の疑いで、府警はカウスに任意の取り調べを行なっている。島田紳助が暴力団との交際で芸能界を引退した際も、府警はカウスの周辺をマークしていたと聞きました。
しかしカウスはそれをあざ笑うかのように、暴力団との付き合いをネタにし続けた。結局、いずれも捜査は不発で、府警はメンツを潰された格好です。そんな因縁の相手を警察のイベントに呼ぶなんて、幹部が慌てるのも当然です」(前出の記者)
関係者によれば、全国交通安全運動のイベントは、地域の警察署が企画立案を任されるという。カウスらへの出演依頼は、西堺警察署によって行なわれたものだという。普通なら、そんな相手へのオファーは避けるのが当然だろう。西堺署の担当者は、カウスと府警の関係を知らなかったのだろうか。
しかし今回のドタキャンには、カウス側も激怒しているという。「結局、府警に説明を求める事態にまで発展した」(カウスの知人)という。
吉本興業に今回の騒動を問い合わせたが、回答はなし。一方の大阪府警は、イベント中止に際してカウスの存在は「関係ありません。(イベント中止は)諸般の事情ということでご理解ください」との回答だった。いずれにせよ、イベント中止に踏み切った府警にとっては笑えない話であることには違いない。
※週刊ポスト2013年5月3・10日号