フジテレビの凋落は止まらない。2012年の視聴率は3位に転落、WBC中継で高視聴率を稼いだTBSに追い抜かれるのは、時間の問題との声もある。
特にひどいのがかつての看板・ドラマ部門。鳴り物入りの先クールドラマ『dinner』は平均視聴率10%にすら届かず、他のドラマも10%前後と不発。次期社長候補といわれた大多亮・常務取締役の責任論が噴出している。
フジテレビ社員がいう。
「大多氏が常務になってからトップダウンの企画が多くなり、それがことごとくコケている。しかも『dinner』は江口洋介、4月17日スタートの『家族ゲーム』では鈴木保奈美と、トレンディドラマ時代の自分の人脈ばかりを使おうとする。
昨秋の『ゴーイングマイホーム』の山口智子もそうですね。前政権の安倍首相の“お友達内閣”みたいなもので、スタッフは困惑している。“昔と同じことをやればいい”って思っていたのかもしれませんが、結果は出ていない」
大多氏はプロデューサー時代、『101回目のプロポーズ』『ひとつ屋根の下』などオリジナル脚本ものでヒットを飛ばしてきた人物。だからこそ昨年の常務就任当初は「コミック原作もののドラマ企画は通さない」という方針だったとか。
「なのに、大多氏の肝いりで始めたバラエティ『アイアンシェフ』の大コケ以降、ブレにブレはじめた。いつの間にかコミック原作も通るようになり、どんな企画が通るかみんな分からなくなってしまった」(前出・社員)
いまでは、すっかりリバイバルもの頼り。『抱きしめたい!』や『ショムニ』など過去のヒット作の続編が制作中という。
「秋からは離島での医療ものが始まる。ほとんど『Dr.コトー診療所』の焼き直しですよ。すでに大多氏失脚の噂は出始めていて、スタッフたちも、いまは距離を置き始めている。6月の役員人事が見物ですよ」(別のフジ社員)
となると、社長の椅子は大多氏のライバルであり、唯一好調の映画部門を牽引する亀山千広・常務取締役なのか。
※週刊ポスト2013年5月3・10日号