「娘たちが10年後に“親はいつもベストを尽くしてくれた”と思われるように頑張りたい」
14才と9才の娘がいる仲村トオル(47才)は、5年前に「ベスト・ファーザー イエローリボン賞」に選ばれると、こう挨拶した。子育てだけでなく、掃除、洗濯、食器洗いが大好きで、「アクティブな引きこもり」を自称する仲村。数えるほどの特別な日にしか飲みに行くことがなく、仕事が終わるとそのまま自宅へと帰る彼は、芸能界きっての「イクメン」として知られている。
その一方で、妻・鷲尾いさ子(46才)は、いつの間にかテレビやスクリーンから遠ざかっていた。子育てや自身の家事については楽しそうに語るのに、妻については言葉数が少なくなる仲村に、「夫婦仲が悪いのでは?」という声も最近では少なくなかった。そのことについては仲村の近所でも話題になっていた。
「あのご夫婦は、昔は本当によく見かけたんですよ。一緒に買い物に出かけたり、娘さんと公園で遊んだり…。でも、3年くらい前からかな? 鷲尾さんの姿を見かけなくなったんですよ」
また別の近所住民もこう話す。
「それまではいつも鷲尾さんがしていたお子さんの学校への送り迎えも、仲村さんが代わりにするようになって、家の周りの草むしりなんかも彼がひとりでしてるんですよ」
取材を進めると、仲村家は深刻な事態に陥っていた。
「実は、鷲尾さんが数年前から重病を患っているんです。症状はいい時もあるんですが悪い時になると歩くのもやっとで、外出することもままならない状態になるそうです」(夫妻の知人)
1999年に長女、2004年に次女を産み、子育てもひと段落して、女優としての再スタートを考えていたまさにその時、突如病魔が襲った。原因は不明。完治の難しい病気だった。日本健康教育振興協会の菅原道仁会長がこの病気について説明する。
「50~60才くらいのかたに多い病気ですが、若いかたにも発症例が少なくありません。進行していくと、歩行や会話も困難になってしまう可能性もあります。現在は投薬やリハビリ治療によって日常生活に支障が出ないようにすることができるようになってきました」
鷲尾は継続的に治療を受けているが、いつ突発的に症状が出てしまうかわからないため、現在はひとりでの外出が困難になっているという。そのため仲村が鷲尾に代わって、娘たちの送り迎えをするようになり、母親だけの参加で構わない学校行事には万が一のために、鷲尾に連れ添うようになった。そんなふたりの姿に、事情を知らない他の母親たちが驚いたり、うらやましげに見つめることも少なくなかった。
病と闘う妻に寄り添い、2人の娘の子育てをし、家事全般もこなす。もちろん仕事をセーブすることなく…。現在も6月からの主演舞台『オセロ』の稽古に追われる日々だ。お手伝いさんや知人の手を借りることもあるが、しかし仲村はできるかぎり自分の手で家族を支える道を選んでいる。
※女性セブン2013年5月9・16日号