健康や美容などにさまざまな効果が期待できると、今、ヨーグルトが注目されている。そんな中、1日に“ワンスプーンでOK”という新しいヨーグルトの食べ方が話題となっている。
4月11日、ビフィズス菌BB536入りのヨーグルトについて、「30グラム、つまりワンスプーンで整腸作用がある」という試験結果が発表された。
試験では、便秘に悩んでいる30名を2グループに分け、ビフィズス菌BB536入りヨーグルトを一方は100グラム、もう一方は30グラム、4週間、毎日摂取。その結果、どちらのグループでも食べ始めて1週間で排便回数が改善され、便の状態もよくなった。また、下痢気味の人29名でも同様の結果が出た。
この試験に携わった森永乳業・食品基盤研究所の小田巻俊孝さんは、こう話す。
「ビフィズス菌はもともと、乳酸菌よりも整腸作用が強いと考えられる菌です。でも、短期間のうちに、たった30グラムでおなかの調子がここまで改善されるとは、予想していませんでした」
ビフィズス菌と乳酸菌は、どちらも善玉菌だが、実はまったく違う生物。ビフィズス菌はヒトの腸内に1~10兆個と、最も多く棲む善玉菌で、その数は乳酸菌の100~1万倍。また、ビフィズス菌は、乳酸よりも強力な殺菌作用を有する酢酸を産生し、優れた整腸作用をもっている。
腸内に最も多く棲む善玉菌のビフィズス菌だが、いつまでもその数を保てるわけではない。「年齢とともに減っていくため、継続して摂取する必要がある」(小田巻さん)。
「平成22年の国民生活基礎調査(厚生労働省)の結果から推測すると、日本人のうち100万人弱が便秘に悩んでいる可能性があります」と話すのは、大腸や胃を専門とする松生クリニック院長の松生恒夫さん。
「便秘は、20代から60代では女性に多い疾病。しかし、男性も60代を過ぎると、運動不足から便秘になりがちです。さらに、70代になると腸の弾力性は20代に比べて約30%も低下しますから、便を排出する力が衰えます。
腸の健康を保つには、1日3回の食事をきちんと摂ること。ヨーグルトも腸を整えるのに役立ちます。とくに朝食は、腸を活発に動かすためには不可欠です。運動不足や食物繊維の不足、ストレスは腸の働きを停滞させる原因です」(松生さん)
腸を整えるのに役立つといわれても、ヨーグルトを食べる習慣を急に身につけるのは難しい。だが、管理栄養士の浅野まみこさんは、「チーズやマヨネーズの代わりにヨーグルトを使えば、毎日ワンスプーンは簡単に続けられます」と、話す。
「ポテトサラダではヨーグルトをマヨネーズ代わりにできますし、カレーや煮込み料理に加えると、味がまろやかになり、コクが出ます。肉料理のソースに使えば、脂っこさが抑えられてさっぱりします。例えば、ヨーグルト30グラムと練りわさび5グラムを混ぜるだけでもお肉にぴったりのソースになります。また、ヨーグルトは、魚や豆、納豆などのくさみを抑えることも。同じ発酵食品のみそやしょうゆ、キムチとも相性がいい。
ヨーグルトを料理に使うときのコツは、できるだけ加熱しないこと。煮込み料理の場合は食べる直前にプラスすれば、ビフィズス菌の力を損なわず、そのまま摂取できます」(浅野さん)
ブームになりそうな“ビフィズス菌入り”ヨーグルト。手軽にワンスプーン、今日から始めてみませんか?