1963年4月に創刊された女性セブンが今春50周年を迎えた。常に“女性の今”を伝えてきた女性セブンの半世紀は、昭和から平成への女性の変化の歴史そのものだが、その中にはやはり失敗も。女性週刊誌の歴史を振り返りつつ、過去の失敗エピソードを紹介する。
当時、女性向けに作られている雑誌は2種類あった。1つは、少女向け雑誌。そしてもう1つが、月刊婦人雑誌。四大誌と呼ばれ、大部数を誇っていた『主婦と生活』『主婦の友』『婦人生活』『婦人倶楽部』各誌のターゲットは主婦で、扱うテーマは、料理や服飾、性生活など、実用記事が中心。これらとは違う、若い未婚女性向けの雑誌を作ろう──そこに女性週刊誌の原点があった。
BG(ビジネスガール)を中心とする新しい女性たちの欲求に目をつけた人たちは、ほかにもいた。例えば、アパレルや化粧品業界に。当時、これらの業界は急成長中で、東レ、カネボウ、旭化成、資生堂などはBG向けの広告を掲載できる媒体を待望していた。若い読者のニーズと一致して、週に1回発行する、回転の速い女性週刊誌はその受け皿となった。彼女たちにふさわしい記事と広告が、『女性セブン』の創刊号にも掲載されている。
「セブンモード・コレクション」記事では、外国人女性をモデルに、初夏に着るニットやウールなどを紹介。その一方で、松本清張氏や源氏鶏太氏ほか、売れっ子作家が連載小説を執筆。瀬戸内晴美さん(寂聴。90才)や三島由紀夫氏、フランスの女優、ブリジット・バルドーさん(78才)の手記もある。評論家の樋口恵子さん(80才)は『女性セブン』創刊当時のことを覚えていた。
「当時から女性週刊誌にはニュースもあったし、経済問題の記事もありました。それでいて、実利的。働く女性のライフスタイルに合わせて始まったことが、結果的によかったんじゃないかしら」
当時は『女性自身』の独壇場。しかし、『女性自身』もまた、記事作りには苦労があったという。創刊時にはいち編集者として、そして1974年からは10年間、編集長を務め、後に光文社社長となった平野武裕さん(79才)の話。
「カレーのレシピを載せた時に、塩10gと書くべきところを100gと書いてしまったことがありました。男性ばかりの所帯のため、カレーに100gの塩を入れることを、不思議に思わなかったんです(笑い)。レシピ通りに、塩辛すぎるカレーを作った読者の一人が抗議のため、編集部のあるビルまでやってきて、『これを食べてみてください』と。あの時は参りました」
※女性セブン2013年5月9・16日号