「こんなにも数奇で壮絶な人生は初めて。芸能活動25周年の節目にこの作品と出会えて、本当にラッキーだったと思います」
4月27日公開の映画『モンスター』に主演する高岡早紀(40)は、そう充実した表情を見せた。演技派としての実力を発揮し、切ないまでの一途な愛を演じきった本作の体当たりの演技は公開前から話題がつきず、官能シーンには妖艶な大人の色気が香り立つ。
「どんなシーンがあろうと、いつもと違う特別な意気込みで臨むわけではないですね。役になりきる中で流れとして演じるだけ」
高岡扮する主人公・和子は“バケモノ”といわれる醜い容姿で周囲から虐げられ、心に深傷を負い、故郷をも追われてしまう。そして、整形手術を繰返し、絶世の美女へと生まれ変わる和子。ただ一人の男の愛を得るために──。
“バケモノ”になる特殊メイクには2時間を要し、撮影現場を訪れた原作者の百田尚樹氏が思わずたじろぐほどの迫力だったという。
「肌は重いし、だんだん陰鬱な気分にもなって、一番厳しい撮影だったかな。そのまま特殊メイクの姿でコンビニに行ってみたんです。行き交う人は目を合わせないように、でもチラチラと見る。すごい反応でした。
それが、まぶたを二重にするだけで、世界が変わるんです。視界が開けて心まで晴れ晴れする。男の人は拒否反応を示す人が多いけど、本人が悔いなく幸せになれるなら、私は整形もありだと思いますね」
和子の人生はさらに壮絶を極める。高額な整形手術代を稼ぐために風俗へ飛び込み、醜い顔に布袋を被されたまま、SMプレイで処女を喪失する。ようやくお金を貯めて故郷へ戻り、こだわり続けたある男と結ばれる。しかし──。
「和子はハッピーではないけれど、やりたいように生きて、後悔のない人生を送った女性だと思います。愛って本当に難しくて、私自身もまだ答えを見つけられずにいます。一生のテーマなんでしょうね。私も失敗はあったけれど今までの人生に後悔はない。これからもそうありたいですね」
※週刊ポスト2013年5月3・10日号