2007年に発表された「現代中国青年人口発展状況研究報告」によると、15歳から35歳の未婚比率は50%を超えている。35歳未満の男性3億6000万人のうち、半数の1億8000万人が、「結婚できない男たち」となる計算だ。
恋人がいない、結婚できない男たちの性欲が向かう先は、自慰か、もしくは性産業であるのはどの国も一緒だろう。『中国人の取扱説明書』著者の中田秀太郎氏がいう。
「非合法ですが、中国にも性産業が存在します。上海だと、本番ありのデリヘルが600元(約9900円)ほどです。サウナといって、大浴場で汗を流した後、個室に案内されて女性と一戦を交える風俗店もあります。上海なら650元(約1万725円)からが相場です」
だが、ジェトロの資料によると、2009年の中国労働者の56%が、可処分所得が年間5000ドル(約49万円)以下で、月収にすれば4万円強という低所得層である。
この格差は、近年ますます広がっているといわれる。
月収の2割以上もする金額を払って性風俗に通うのは、極めて貧しい生活を強いられている男性にとっては困難だ。
単純計算だが、1億8000万人もの「結婚できない男たち」のうち、約半数の約1億人が童貞のまま一生を終える――これは決して絵空事の試算ではないはずだ。
※週刊ポスト2013年5月3・10日号