28か国を515日間かけて世界一周したナオト・インティライミは、メジャーデビュー後8か月で武道館ワンマンライブを成功させた。そんなナオトが旅から得たものは何だったのだろう? 彼はこう語る。
「生身の人間とつながること。間接じゃなくて直接、体温を感じられることが大事かなと思う。今ってPCやケータイなど、便利なツールがたくさんあって、情報に踊らされることが多いですよね。信号待ちの20秒でも携帯電話をチェックしちゃうとか、PCを立ち上げてなんとなく2時間ネットサーフィンしちゃうとか…それって依存じゃないかなって。それ、今じゃなきゃだめなの?って思う」
その瞬間、本当にやるべき大切なことは何だろう。あまりにも何も考えずに流されるように生きてしまっていないだろうかと問いかける。
「みんなうすうす気がついてると思うんですよね、この時間ムダだったなって…。そんなことを旅の途中で考えていたんですね。キャッチ・ザ・モーメント“その瞬間を逃すな!”って。うつむいて携帯電話をいじっている間に、目の前では美しい景色が広がっているかもしれないのに。
エチオピアのハマル族の人たちは、時間があるとぼーっとしてるんです。ぼくもやってみたら最初は落ち着かなかったけど、慣れるとすごく気持ちいい。心の風通しがよくなる感じ。ネットをなくせというのは難しいけど、必要な時だけキャッチするようにしたら依存とは違うんじゃないかと思うんです」
『旅歌ダイアリー』ナオト・インティライミ/幻冬舎/1260円
※女性セブン2013年5月9・16日号