痛風は血中の尿酸値が7.0ミリグラム/デシリットルを超えた状態が続く高尿酸血症で起こる疾病の一つで、血液に溶けなくなった尿酸が針状の結晶となり、関節に溜まることで発作を起こす。9.0ミリグラム/デシリットルを超えると発作の可能性が極めて高くなる。
大半が足の親指の付け根が腫れて激痛があるが、中には足首やアキレス腱、膝、手首、手指などの関節に痛みが出ることもある。痛風を発症するのは、20対1と圧倒的に男性が多い。ホルモンの関係と見られ、若い女性には痛風患者はいない。しかし、女性も閉経すると女性ホルモンが低下し、発症する危険性が上がる。
帝京大学医学部附属病院内科の藤森新教授に話を聞いた。
「痛風の発作による痛みは数日間で治まるため、治療を中断してしまうケースが多いのが問題です。発作が治まっても病気は進行し、腎機能の低下を引き起こすリスクが高くなります」
尿酸はプリン体が代謝された最後に生成される。尿酸値を上げやすい生活習慣として体重増加、飲酒、果糖(フルクトース)を含む清涼飲料水の大量摂取、プリン体を多く含む食品の過剰摂取などがある。プリン体の多いものとしてビールがあるが、実はアルコール自体も尿酸値を上げる作用がある。高尿酸血症の治療は、まずは生活習慣の改善指導から始まり、尿酸のコントロールが不十分な場合に投薬を行なう。
一昨年、40年ぶりに尿酸生成抑制剤の「フェブリク錠(R)」が保険承認された。1日1回の服用で高い効果が得られ、従来の薬が腎臓で排泄されるのに比べ、新薬は肝臓で代謝され腎臓と便の両方で排泄される。このため腎機能が低下した痛風患者でも服用が可能で、従来の薬で副作用が出ていた人の治療の選択肢が広がると期待されている。
「新薬が開発されたことで、臨床試験で高尿酸血症と高血圧や糖尿病などとの因果関係を調べることができます。また、どこまで尿酸値を下げれば、腎不全や心筋梗塞、脳梗塞など命にかかわる合併症のリスクを下げ健康を保てるかの研究も進むものと思われます」(藤森教授)
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2013年5月17日号