中国の四川省雅安県を中心とした四川地震の発生から1週間以上経過した段階で、北朝鮮の最高指導者である金正恩第一書記から中国の最高指導者である習近平国家主席への慰問電報が送られていないことが分かった。
鮮血で固めた友誼関係を誇る両国の親密な関係から考えると、今回のようなケースは極めて異例。中国が北朝鮮による長距離ミサイル発射や核実験で国連の制裁決議に賛成、北朝鮮が中国を批判するなど、両者の関係冷え込みが原因とみられる。
中国では1972年7月、河北省唐山市を襲ったマグニチュード7.5の唐山地震により、24万人以上が死亡するという20世紀最大の地震被害を出した。この際、北朝鮮の金日成主席はただちに毛沢東主席に慰問電報を送った。
その後も同様で、2008年5月の四川大地震、2010年10月の青海省の樹地県での地震でも、金正日総書記から胡錦濤主席に電報が送られた。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信社によると、今回の四川地震では地震発生から2日後の4月22日には北朝鮮の朴鳳柱首相から中国の李克強首相に慰問電報が送られたが、金第一書記が習主席に電報を送ったとの報道はない。
両国間では地震など大きな災害が発生した場合、通常2日間で、最高指導者が互いに慰問電報を送ることが慣例化してきたが、最高指導者間の電報のやりとりがない初めてケースとみられる。
中国側の度重なる説得を無視して、ミサイル発射や核実験を強行し、度重なる挑発行為を繰り返す金第一書記に対して、習近平主席はケリー・米国務長官やデンプシー米統合参謀本部議長らに「朝鮮半島の非核化」を強調し、米側との協調姿勢を強めていることから、中朝関係は極めて悪化しているとみられる。
中国人民解放軍の房峰輝・総参謀長はデンプシー議長に「北朝鮮はすでに3回目の核実験を行なっており、4度目の実験をする可能性も依然としてある」と発言。このほか、中国共産党政権は米国に「南北統一を含めた朝鮮半島の包括的な未来を議論する用意がある」との立場を表明したと韓国紙「朝鮮日報」は報じており、金第一書記がこのまま中国の提案する6か国協議に復帰しなければ、経済支援の全面停止など制裁措置を強め、両国関係は決定的に悪化することも考えられる。