いつの時代にも、女性には流行のヘアスタイルがある。都内の美容師・A氏(33歳)によれば、最近のトレンドはトップの髪と毛先のカラーを変えたグラデーションカラーだという。スタイルとしては、女優の剛力彩芽や蒼井優のベリーショートを意識した、ショートカットのオーダーが増えているそうだ。
「グラデーションカラーを頼む方はオシャレにこだわりがある方が多い。だから、色味や配色のバランスでとても細かい注文が来ます。ブリーチをしすぎると髪に負担もかかるので、自分もひやひやしながら脱色しているんです」(A氏)
しかし、A氏によれば、グラデーションカラーとは比べ物にならないほど、難易度の高いオーダーもあるそうだ。
「お客さんの中には、『カットに細かい注文つけてごめんなさいね』といってくださる方もいますが、僕ら美容師にとっては、そんなの注文のレベルに入りません。むしろ、細部まで相談してくださったほうがやりやすい。
一番驚いたのは『鬼ヘアーにしてください』というものでしたね。20代の女性だったのですが、『スキンヘッドにして、角を生やす部分の髪だけ残して下さい』というんです。スプレーで固めて角を作るそうなのですが、日常はスキンヘッドに二か所から毛が耳のように垂れ下がっている状態になります。さすがに女性でしたし、かなり戸惑いましたね」(A氏)
理由を聞くと、彼女は追っかけをしているバンドのメンバーと同じヘアスタイルにしてほしかったのだという。美容師は、こうした様々な客の注文をどう考えているのだろうか? A氏が続ける。
「美容師としては、お客さんが納得してくださることが一番うれしいです。だから、これ以上注文したら嫌がられるかな、というのは気にしないでほしい。後から『思っていたのと違う!』とクレームがつくというパターンも珍しくないので、カウンセリングの時点でじっくり注文していただけたほうが助かります」