4月25日、ジャンボ尾崎こと尾崎将司が国内レギュラーツアー史上初めて年齢以内の打数で回る「エージシュート」を達成した。くすぶっていたベテランが久しぶりに注目を集めたとき、どんな振る舞いをするべきなのか。大人力コラムニストの石原壮一郎氏がジャンボからその姿勢を学ぶ。
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やっぱりジャンボ尾崎は、いくつになってもジャンボな話題を提供してくれます。先月25日、男子ゴルフのつるやオープン初日で、66歳の尾崎将司が自分の年齢よりも少ないスコアで回る「エージシュート」を達成しました。しかも、ギリギリでの達成ではなく、1イーグル、9バーディ、2ボギーで、コース記録に並ぶ62という余裕のスコア。ひさしぶりにお得意のコブラのポーズも出て、大会を大いに盛り上げました。
ずっと腰痛に苦しめられてきて予選通過も一昨年の10月以来と、ひさしぶりの表舞台です。どんな職種にせよ、中高年としては、長いあいだパッとしなかったのに、なんかの拍子に大きな成果を上げて注目が集まるという展開がないとは限りません。大人としての貫録を見せつける舞い上がり方とは何か、先週の尾崎将司の発言に学びましょう。
もちろん、復活できた喜びを涙を浮かべて殊勝に語るようなジャンボではありません。記者がエージシュート達成を祝福すると、「エージシュート? エージシュートよりいいスコアじゃない」とかまして、自分がこのくらいのことで浮かれていないと示します。
さらに「(コースレコードタイの62?)いいスコアだけど自分がレギュラーツアーでやる以上、ときどきこれぐらいのスコアを出していかないとね。若手もいるし、ジャンボ尾崎ここにありっていうのを出したかったから、良かったよ」という強気な発言も。実際はいいスコアを「ときどき」出しているわけではありませんが、その心意気が大事です。
また、ジャンボといえば王者に君臨した90年代、最終日の勝負服は紫色が定番でした。最終日ではなく3日目に紫色の服を着てきたジャンボは、「いやあ、朝、違う色を着ていたけど、よく考えれば今日が一番、俺がテレビに映る日かな、と思ってさ」とコメント。目立つときには思いっ切り目立とうという姿勢や、そう簡単に若手に主役の座を与える気はないという意地の張りっぷりに、並々ならぬプロ意識を感じずにはいられません。
もし、ひさしぶりに仕事で大きな成果を上げることがあったら、こともなげに「仕事をしている以上、ときどきこのぐらいの成果を出していかないとね」「若手社員もいるし、○○ここにありていうのを出せてよかったよ」とかましましょう。たとえそれまでたいした実績はなかったとしても、周囲に「この人、貫録あるなあ」と思ってもらえるし、たまに注目を浴びた快感もふくらむはず。半端に「いやあ、まぐれだよ」なんてテレていても、謙虚な人だと思われるどころか、「たしかにそうかも」と納得されるだけです。
今週は、過去5度優勝している「中日クラウンズ」で、2週連続エージシュートへの期待も高まります。水曜日の時点では「今日みたいな風が吹いたらダメ。お手上げだよ」とボヤいていましたが、さてどんな結果になったでしょうか。弱気な発言すら自信の表われかと感じさせてくれるところに、ジャンボ尾崎のさすがの貫禄を感じずにいられません。