女性週刊誌に創刊時から欠かせないテーマの一つに「皇室」がある。女性週刊誌が誕生し、急激に支持を集めた背景には、美智子さまのご成婚があった。
「とてもご誠実で、ご立派で、心からご信頼申し上げ−――」
結婚発表の記者会見で美智子さまが皇太子さまのお人柄について語ったフレーズは流行語となり、アイボリーのドレス、肩にかけたミンクのストール、髪につけた白いヘアバンドなどはたちまち“ミッチースタイル”として、若い女性たちの間に浸透していった。それを事細かに報じたのが、創刊したばかりの女性週刊誌だった。
「それまで、皇室のかたがたは『顔も見ちゃいけない』という存在だったんです。ところが、市民の代表であるシンデレラが登場して、急に皇室が開かれたんです」
と語るのは、1974年から10年間編集長を務め、後に光文社社長となった『女性自身』の平野武裕さんだ。
だからこそ、ご成婚前の美智子さまが、ご実家でお父様とキャッチボールをされている様子を捉えた写真を載せた号(1959年4月17日号)は、売れに売れたという。
「それだけでなく、あちこちから写真を貸してほしいと頼まれましたよ」
元テレビ朝日の皇室記者で、皇室ジャーナリストの神田秀一さん(77才)は、現在のような皇室報道をリードしてきたのは女性週刊誌だと語る。
「宮内庁の発表や新聞・テレビでは伝えられないことが、雑誌の独自の取材、視点によって、明らかにされることが増えました。
そして、それを見たテレビ関係者が、こういう風にして伝えれば皇室に興味を持ってもらえるのかと、ワイドショーなどでも報道するようになったのです」
例えば、美智子さまが、生後7か月の皇太子さまを残して渡米する際に側近に渡した育児心得 “ナルちゃん憲法”。
●ひとり遊びは続けさせてください
●自分で投げたものは、自分で取りに行かせるように
●1日1回ぐらいは、しっかりと抱いてあげてください
女性週刊誌では、“ナルちゃん憲法”を一般家庭の子育てに応用させて報じ、大きな共感と反響を呼んだ。
※女性セブン2013年5月9・16日号