5月5日の東京ドームでの引退セレモニーで、同時に国民栄誉賞授与式も行なわれる、元巨人・ヤンキースの松井秀喜氏(38)。松井氏は現役時代、“遅刻癖”があることが話題になった。
1995年、広島市民球場で行なわれたオールスター戦には、飛行機に乗り遅れ、練習終了後にようやく到着。それでも、その試合は猛打賞でMVPを獲得している。このように、「松井は遅刻すると打つ」という伝説も生まれるほど、絵になる選手だったといえよう。
実際、現役時代の松井氏は頻繁に遅刻をしていたのか? スポーツ紙記者が話す。
「もちろん、たまにしかしていないです(笑)。遅刻癖があるかのように騒がれたのは理由があります。巨人の場合は、“ジャイアンツタイム”呼ばれるルールがあり、集合時間30分前に全選手が揃うことになっています。
若手であれば、余裕を持って、45分前や40分前に来ます。でも、松井は30分前ギリギリにきたり、30分前をオーバーしたりすることもありました。厳密には遅刻ではないですが、巨人の掟からいったら、遅刻とも取られるわけです
それ以前に、普通の若手なら、ベテランがみんなバスの席に座るなか、1人で後から来ることは気が引けるでしょう。特に、松井の入団した1993年前後の巨人は、原や篠塚、落合といったベテランばかりで、松井と年の近い選手自体がほとんどいなかった。にもかかわらず、ギリギリに行くわけですから、我々も“大物”と称えたわけです。松井が遅刻すればしたでネタにはなりますしね(笑)」
結果を残さない選手が遅刻をしても、失格の烙印を押されるだけだが、松井氏の場合は、2年目にはチーム最多の20本塁打を放ち、日本一に貢献。4年目の1996年には、38本塁打で11.5ゲーム差をひっくり返す“メークドラマ”の立役者となった。
「巨人は、OBなどからフォームについてさまざまなアドバイスをもらうし、当時は特にマスコミからの注目度も半端ではなかった。そのなかで、松井は常に自分のペースを守り、泰然自若としていた。その象徴が、『ベテランがいようが、集合時間に間に合えば問題ないでしょ』という姿勢だったのかもしれません」(同前)