一度売れたお笑い芸人がテレビで長生きしようと思うなら、“ひな壇番組”でいかに自分のポジションを確立するかが、“食っていけるかどうか”のポイント。現在そのひな壇には「いじられ枠」「ガヤ枠」「ベテラン枠」「新人枠」「裏回し枠」「オンナ芸人枠」の6つがある。
“裏回し枠”とは、ひな壇にいながら陰で司会者の進行をサポートし、場を回していく役割。
「例えば、バナナマンの設楽統(40才)を見ていると、トークに参加しながらもひたすら冷静。ちょっと引いた視点で全体の空気を読み、コンビの日村や他のいじられキャラに話をふって、目立つ場面をつくってあげるのが上手い」
というのはお笑い芸人評論家のラリー遠田さんだ。
土田晃之(40才)もこのタイプで、若手時代にひな壇で苦労した経験が礎になっているという。
「土田さんは30代のころ『さんま御殿』に出演したとき、トークのスピードについていけず、2時間半の収録の中で『東京出身やな?』とふられたときの『埼玉出身です』のひと言しか発せられなかったといいます。“あの時ああすればよかった”“この人のあそこを見習わないと”とずっと考えてきたのが今に生きているのではないでしょうか」
と話すのは『ひな壇芸人のトーク術』(こう書房)の著者・難波義行さん。
ツッコミにキレがあるフットボールアワーの後藤輝基(38才)、下ネタやマニアックネタが得意なケンドー コバヤシ(40才)も実は視野が広く、全体が見える裏回しタイプ。
そんな難易度の高いキャラの中、現在最も実力があるとされるのが、有吉弘行(38才)。
「一見、毒舌で大胆に斬り込んでいるように見えますが、それは視聴者やスタッフが求めている心の声だったりする。本質を上手についているから、毒舌でも共感を得ることができる」(前出・ラリーさん)
時に司会者が引くほどに場の空気を壊すが、それも計算のうちなのだ。
※女性セブン2013年5月9・16日号