中国では日本の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)や中国人民政治協商会議(政協)の委員の約4000人のうち、83人が1000億円以上の資産を持つ1000億円長者であることが明らかになった。中国で毎年、長者番付を発表してきた経済誌「胡潤百富」の調べで分かった。
そのうち長者番付ナンバー1は1兆3000億円もの巨額な資産をもつ宗慶後氏で、飲料メーカーの杭州娃哈哈(こうしゅう・わはは)会長。同社は飲料部門では中国最大で、世界第5位となる。
宗会長は全人代委員で、ほかにも1000億円以上の資産を持つ全人代委員は30人となる。他の52人が政協委員だ。
この83人の1000億円長者の平均資産は3350億円で、日本や米国の国会議員でも、これほどの資産をもつ富豪はまれ。ちなみに、中国の都市部に住む労働者の年間平均収入は約70万円だけに、この3350億円の資産がどれほど莫大なものか分かろうというもの。
中国では全人代や政協の委員は政治家というよりも、名誉職的な肩書きという色合いが強い。中国では事業で成功すると、政治的なステータスも上がり、全人代委員などに選出される確率が高い。
親中派で知られる映画俳優のジャッキー・チェンも今年春、政協委員に選ばれたことが話題になっており、ほかにもオリンピックの金メダリスト出身の委員も多数存在する。
中国の政治は共産党一党独裁体制で、政治の実権は党幹部が独占しており、年に1回、3月に2週間ほど開かれる全人代や政協は提出された議案に「賛成」のゴム板を淡々と押していくという「ゴム板大会」と呼ばれており、一種の政治的ショーの場と化している。