大阪・オリックス劇場で4月5日に行なわれた、落合博満前中日監督の講演会では、2400人収容のホールに、9割近くの聴講者が集まり、相変わらずの落合人気を見せつける格好となった。
落合氏といえば、球界初の1億円プレーヤーとなり、高額年俸時代を切り開いていった先駆者だ。しかし、選手の年俸上昇に貢献していると思われる代理人制度には、疑問を投げかけた。その最大の理由は、「年俸の数%」などと規定されることの多い代理人報酬にあるという。
「どうやって、(年俸の)3%を選手からふんだくるのか。1億の3%といったら、300万だろ? (選手が)2億、3億もらえば、その数字が跳ね上がる。3%じゃなくて5%なら、もっと身入りいいかもしれない。でも、そんな人の仕事の金を……そんな仕事したくない。代理人の気が知れない」
そして、こう続けた。
「契約(書)のなかに、“対面交渉”とちゃんと一文入っているんですよ。本人と球団と、対面交渉しなさい。そこに、代理人連れて行こうが、奥さん連れて行こうが構わない。でも、現実は対面交渉。今はどう書いているかわからないけど、昔はそうだった」
実際の野球協約では、選手契約時に「球団職員と選手とが対面して契約しなければならない」と選手出席の契約を義務付けているが、契約更改時については、明文規定はない。だからこそ、2000年オフ以降、代理人制度が成立しているわけだが、代理人の手など借りず、みずからの力で年俸アップを勝ち取っていった落合氏の目には、球団との交渉の際に代理人が顔を出してくる現在の慣例は歪んで見えるのかもしれない。