今から9年前の2004年3月4日、自宅で倒れた長嶋茂雄さん(77才)。脳梗塞の中でも後遺症が大きいとされる心原性脳塞栓症だった。当時、主治医は家族に「寝たきりも覚悟してください」と告げたというが、久々に見る長嶋さんの勇姿に、多くの人が胸を熱くした。
5月5日、東京ドームで行われた国民栄誉賞授与式で、ともに受賞した愛弟子の松井秀喜さん(38才)とおそろいのスタイルでグラウンドに立った長嶋さん。ストライプのシャツにドット柄のネクタイ、そして明るい紺のスーツは、とにかく彼によく似合っていた。
病に倒れた長嶋さんは右半身の麻痺と言語障害が残り、誰もが現場復帰は不可能と思っていた。が、長嶋さんは諦めることはなかった。1週間で立ち上がると、2週間目には支えられながらもベッドの周りを歩いた。そして、すぐにリハビリを開始したのだ。スポーツ紙記者は語る。
「本格的なリハビリに入ってからのメニューは、週に4日、1日2時間を予定していたそうなんですが、長嶋さんはその3~4倍にあたる毎日午前と午後に2時間ずつのメニューを続けていたと聞きました。
ちょっと前まで、元気だった長嶋さんが、ジャージー姿で顎を引いて苦痛に顔を歪めながら、右腕、右脚と上げ下げする懸命な姿は、見る人が涙するほど壮絶だったそうです」
退院後も毎朝45分の散歩と、マシンや鉄アレイを使った40分から1時間のトレーニングを欠かさない。9年間で休んだのは、大雪の日と風邪で体調を崩した時のたった2回だけ。「これはリハビリじゃない、筋トレなんだ」と番記者に力強く正していたという。
入院当初、68kgまで落ちていた体重もベストの73kgまで戻した。行きつけのレストランにも足を運び、病気を患う前とほとんど変わらぬ量の食事をとっている。
「今回の授与式では松井さんとの始球式もありましたから、長嶋さんはどうしても打ってやろうと素振りまでしていたそうですよ」(球界関係者)
※女性セブン2013年5月23日号