日本人の食生活には欠かせない卵。「ばぁば」の愛称で知られる料理研究家の鈴木登紀子さん(89歳)が、数多くのある卵料理の中から「にら卵雑炊」の作り方を伝授する。
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栄養面でも大変な優等生ですが、卵は生で食べてよし、焼いてよし煮てよし。ソースや衣、ケーキにもなる万能選手で、これほど扱いやすい食材はありません。私もよくお料理に使いますが、卵を加えるだけでお料理に厚みと明るさが出ます。
たとえば、今が旬のにらを使った「にら卵雑炊」。昔から漢方薬としても使われるにらは、整腸作用があり、風邪の予防にも効果があります。卵のたんぱく質と合わせれば、まさに鬼に金棒、ばぁばに包丁! でございます。
「にら卵雑炊」は具材がシンプルなだけに、昆布と削り節のだしが決め手。材料はふたり分です。まず、鍋に水3カップ強と昆布1枚(10×20cm)を入れて中火にかけます。昆布がゆらゆらしたら取り出し、削り節をむんずと2つかみ入れます。ここで削り節をケチってはいけませんよ。多いかな、と思うぐらいでちょうどよいのです。
煮立ったら火を弱め、アクをていねいにすくいます。フツフツとした状態で20~30秒間煮出してから火を止め、冷めたらキッチンペーパーを敷いたこし器でこしておきます。
次に下ごしらえです。飯椀1杯分のご飯はざるに入れ、流水の下で軽く混ぜるようにして水が澄むまで洗って水を切ります。冷凍したご飯を使う場合は、電子レンジで解凍、温め直してから洗ってください。
にら約8本(50g)は水洗いして水けを切り、5~6mm長さに刻みます。卵3個はボウルに割り入れ、太めの菜箸で卵白を3~4回つまみ上げて軽く切り、そのあとで全体を、菜箸をボウルの底を静かになでるように動かして溶きほぐします。溶きすぎるとふっくらと仕上がりませんから、お静かにね。
土鍋にだしを入れて中火にかけ、塩小さじ1強、薄口しょうゆ小さじ2、酒小さじ1を加えて味を調えます。煮立ったらご飯を加え、もうひと煮立ちしたら、にらを入れます。
にらがしんなりしたら溶き卵を土鍋の煮立っているところから細く回し入れ、すぐに火を止めます。ご飯がよけいな水分を吸う前に、お召し上がりくださいね。
※女性セブン2013年5月23日号