最近盛り上がっているという熟年層をターゲットにした出会い系サービス。週刊ポストの63歳“オジ記者”が、シニア向け出会いイベントに潜入した。
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GW真っ盛りの5月初旬、午前11時。55歳を過ぎてからというもの色恋沙汰とは無縁なオジ記者、63歳が集合場所の北鎌倉駅に向かうと、計40人の男女が目に入ってきた。
シニア向けにイベントを提案する某サークルが主催する鎌倉ハイキング。参加費1000円で参加条件は男性40歳、女性35歳以上の独身。オジ記者が見たところ、集っている男女は妖艶なアラフォー女子から70過ぎの男性まで幅広い。半日かけてハイキング入り口となる古寺から山道を周遊。途中、公園で休憩し、自己紹介や合唱大会なども催される。
いま、シニア向けの出会いサークルが急増している。例えばその一つである「縁JOY倶楽部」(本社東京)では入会費、月会費は一切必要ない。屋形船での食事会やランチ、お茶会、カラオケのど自慢大会といったイベントへの参加費が数千円程度発生するだけ。先週号で紹介した「三幸倶楽部」もシニア向けの出会いをプロデュースする団体でハイキングやダンス大会を主催している。同会代表・越川玄氏は語る。
「当初は中高年の独身者を一人でも減らすつもりで始めました。でも、今は広告も打たないのに次々に口コミが広がって、月のイベントに参加するのは計300人近い。うちはあくまで出会いの場。4~5回イベントに参加して意気投合し、それから温泉にいく方もいらっしゃいますね。
ただ、なかにはひと目でフィーリングが合致される方々もいらっしゃって、ハイキングで知り合った男女がその日に同棲し、3日後に結婚したこともありました」
再び、オジ記者の鎌倉ハイキング。いまさら恋なんて──そう嘯きながら一人で歩くオジ記者を、薄手ジャケットの下に明るいニットを着こんだ妙齢の女性が颯爽と追い抜いていった。横目でみると豊かなバストの輪郭がはっきり分かる。年齢は45歳前後だろうか。
フェロモンたっぷりの後ろ姿についつい見とれて歩いていた。するとアクシデント。むきだしの木の根に躓いてしまったのだ。赤っ恥をかいてしまったオジ記者。だが、これが思わぬ展開に発展していく。
オジ記者にむかって優しく手を差し伸べながら、先ほどの女性がこう微笑んだのである。
「本当は男性が女性を助けるものよ」
オジ記者の胸は高鳴った。彼女の手を取り立ち上がったオジ記者は、しばらく女性の手を握りしめながらハイキングを続行。学生以来の手繋ぎデートに気分はドキドキである。なんでも女性は3年前に夫と死別して以来、月一のペースでシニアサークルに参加しているのだとか(実年齢は50歳だった)。
その日は女性と一緒に二次会の飲み会にも参加し、メアド交換。オジ記者は、新たな恋の到来を予感したのだった。
※週刊ポスト2013年5月24日号