昨年7月シーズン途中にヤンキースへの電撃移籍を果たしたイチロー(39)だが、今年はキャンプからチームに帯同し、いよいよ本格的な活躍が期待されている。日本球界在籍時からイチローを応援し続けてきた“イチロー世代”記者としては、「ヤンキースのピンストライプをまとい、ヤンキー・スタジアムに立つイチロー」を見なくては一生後悔すること間違いなし!――ということで、一路NYへと旅立った。
マンハッタンからゴトゴトと地下鉄に乗り、2009年に改装されたピカピカのヤンキー・スタジアムに到着。記者が観戦した4月中旬のダイヤモンドバックス戦で、この時点の成績は出場10試合で打率0.176と、まだまだ本調子には至らないイチローだったが、前々日のオリオールズ戦で今季初の完全休養を取り、万全の状態のイチローが期待できるダイヤモンドバックス3連戦の第1戦。球場に入ってまず「背番号31」を探すと
「……あれ? 31がいない? っていうか42? 42? 42?……」
何とこの日は、黒人初の大リーグ選手となったジャッキー・ロビンソンを称える「ジャッキー・ロビンソン・デー」で、両チームとも選手の背番号は全員「42」。イチローといえば誰もが思い浮かべる「51」を捨て、昨年心機一転して背中に背負った「31」にもようやく慣れてきたので一瞬戸惑ったが、レアな「背番号42のイチロー」を見ることが出来たのも“引きの強さ”と解釈し、刻一刻と近づく試合開始を待ちわびた。
スターティングメンバーが発表されると、2番カノーと並んでイチローには最大級の声援が送られる。ジーター、A・ロッド、グランダーソン、テシェイラと主力級をことごとく怪我で欠き、およそベストメンバーとは言い難い現在のヤンキースにおいて、イチローの存在感は特別。周りの観客からも次々と「イチロー!」の歓声が飛び、イチローのレプリカユニフォームを着た記者のテンションは、否が応にも上がりまくる。
そして1回表、イチローがライトの守備につくと、自然発生的にライトスタンドからは「イチローーーーー!」の声援が高まり、テンションも最高潮に達したところで、バッターボックスに向かうダイアモンドバックスの選手に目をやると、何とホームベースの後ろ、テレビ画面にバッチリ映るであろう位置にはどこかで見慣れた「SATO」の看板がっ!
2001年から蜜月を続けるイチローとユンケルといえば、マリナース在籍時、シアトルのセーフコ・フィールドに看板が設置されていたことはもちろんチェック済みだったが、まさかヤンキー・スタジアムにまで、看板を設置するとは……。
ちなみに4月18日から、『ユンケル』新CM「二人のイチロー ライトフィールド」がスタートし、守備位置のライトに2人のイチローが登場して、軽快に手品を披露している。なぜ守備位置で手品……という理由はさておき、イチローを見るためにNYまで足を運んだ記者も、なかなかのストーカーぶりなだけに、看板で寄り添い続けるSATOにはちょっとジェラシーを感じた。
この日のイチローは、2度にわたって“レーザービーム”を繰り出して観客のどよめきと歓声を誘い、3回にセンター前ヒット、7回裏1アウト2・3塁のシーンでは敬遠で四球を選んで「イチローここにあり!」を示す結果に。イチローの活躍もあってチームは4対2で勝利を収めた。
イチローを見にNYまで足を運んだイチロー世代記者と、ヤンキー・スタジアムに看板を出したユンケルとの“イチロー愛”勝負は「引き分けだな」とつぶやき、ヤンキース勝利の余韻に浸ったイチロー世代記者。次回はイチローの「NYでの人気ぶり」をレポートする!