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【ドル円週間見通し】米連邦債務上限引き上げ協議の見極めを

 投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、5月13日~5月17日のドル・円相場の見通しを解説する。

 * * *
 今週のドル・円は、19日に到達する米国連邦債務上限の引き上げや先送りに関する協議が難航した場合は、上げ渋る展開、先送りされた場合は強含みに推移すると予想する。米国連邦準備理事会(FRB)による量的緩和第3弾(QE3)の縮小観測が高まっていることで、米国連邦準備理事会(FRB)の関係者の発言を注視する展開となる。本邦政府系機関投資家が外貨建て資産への投資を開始する可能性や海外投資家による日本株投資の円買いのヘッジとしての円売りも、ドル・円を下支える要因となる。

【本邦機関投資家の外貨建て資産への投資増額】
 本邦機関投資家による外貨建て資産への投資が開始されること、円高局面をヘッジするドル売りポジションの買い戻しが予想されることで、ドル買い・円売り要因となる。

 外貨準備を運用する海外の中央銀行や政府系ファンド(SWF)は、円を保有するリスクを回避しつつあり、資金流出懸念が高まっていることも、円売り要因となる。

 海外投資家は日本株への投資を増やしているが、円安トレンドが加速する可能性が高まる中、日本株買い=円買いポジションのヘッジとしての円売りが増えることが予想される。

【米国債償還・利払い】(15日)
 15日に向けて、米国債の償還・利払いによる円転(円買い)が予想されるものの、本邦機関投資家の外貨建て資産への投資増額観測から、再投資される可能性が高まっていることで、為替市場への影響は限定的だと予想される。

【米国の連邦債務上限到達】(19日)
 米国の連邦政府の借り入れの法定上限に19日に到達することで、米国債のデフォルト(債務不履行)や格下げの懸念が高まり、ドル売り要因となる。しかしながら、財務省による緊急措置で資金を確保し、上限到達を一定期間先延ばしすることが予想されている。

【新規失業保険申請件数】(16日)
 米国の新規失業保険申請件数は、リーマン・ショック前の2008年1月の水準まで低下しており、米国の雇用情勢を占う意味で、注目要因となる。新規失業保険申請件数が改善していた場合、米国連邦準備理事会(FRB)のタカ派による量的緩和第3弾(QE3)の縮小・停止発言が優勢となり、ドル買い要因となる。

 5月13日~17日に発表される主要経済指標のポイントは次の通り。

○(米)4月小売売上高 -- 13日(月)日本時間午後9時30分発表
・予想は、-0.3%
 参考指標の3月ICSCチェーンストア売上高(ウォルマート除く)は、前年比+1.7%で2月+0.6%から上昇。ガソリン価格は前月比-3.73%程度でガソリン・スタンド売上の下落要因。国内自動車販売台数は前月比-2%程度。コンセンサスは妥当か。

○(米)4月鉱工業生産 -- 15日(水)日本時間午後10時15分発表
・予想は、-0.1%
4月ISM製造業の「生産DI」は53.5と3月52.2から上昇しており、プラス要因。労働時間はわずかに減少しているが、ほぼ中立要因。市場コンセンサスを上回り、増加の可能性がある。

○(日)1-3月期国内総生産速報値 -- 16日(木)午前8時50分発表
・予想は、前期比年率+2.7%
 昨年10-12月期に続いてプラス成長の見込み。政府最終消費支出がまずまず順調に伸びること、純輸出のマイナス幅縮小が予想されていることがGDP成長に寄与する見込み。復興関連投資は継続することから、4月以降も緩やかな回復基調を維持する見通し。

○(米)4月消費者物価指数 -- 16日(木)日本時間午後9時30分発表
・予想は、全体の数字が前年比+1.3%、コアは同比+1.8%
 4月ガソリン価格は前月比-3.73%程度(季調済み)で、CPI全体には押し下げ要因となる。コアの部分では、先行指標となるPPIの発表を待つ必要があるが、コアPPIは前月比で小幅上昇、前年比では+1.7%程度と予想されており、コンセンサスは妥当な水準。

○(米)5月ミシガン大学消費者信頼感指数 -- 17日(金)日本時間午後10時55分発表
・予想は、77.7
 4月確報値は76.4←速報値72.3と上方修正。ダウ平均は5月上旬にかけて史上最高値を更新しており、株式は堅調。4月ガソリン価格は前月比-3%超でプラス要因。4月からの上昇が予想される。

 主な予定は、14日(火):(米)4月輸入物価指数、15日(水):(米)4月生産者物価指数、(米)3月ネットTICフロー合計、(米)5月NY連銀製造業景気指数。

【予想レンジ】
・ドル・円99円00銭~104円00銭

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