5月7日、参議院議員会館講堂にて「差別主義者・排外主義者によるデモに抗議する第2回 国会集会」が開催された。これは民主党の有田芳生参議院議員らがよびかけた、新大久保や鶴橋などでの排外デモについて考えるためのもので、今年3月に第1回が開催されている。
会では第1回にも登場したジャーナリストの安田浩一氏や、同じくジャーナリストの魚住昭氏、ヘイトスピーチ(憎悪表現)デモへの人権救済申し立てをした宇都宮健児弁護士などが登壇し、報告を発表。
大阪経済法科大学客員研究員の師岡康子氏が「日本が1995年に加盟した人種差別撤廃条約のなかには『人種的憎悪・差別を正当化し助長したりする、あらゆる宣伝や団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動・行為の根絶を目的とする迅速で積極的な措置を取ることを約束する』とあるのに、実行されていない」ことや、一橋大学の田中宏名誉教授が「外国人学校が東京都内に27校あるが、うち10校は朝鮮学校。東京都の猪瀬知事は、朝鮮学校へ補助金を支払っていない。公のところが率先していじめをしている」ことなどについても触れていた。
会が後半にさしかかったところで、かつてデモに参加していたという男性が登場。「今運動に参加している人たちは、一刻も早く身を引いてほしい」と発言し、会場の注目を集めた。
関西地方に住むこの30代男性は2009年、「デモは民主主義の意思表明の手段だと思ったが、左翼のデモには魅力を感じなかった」ことから、NHKの『ジャパンデビュー』という番組の内容に抗議するデモにはじめて参加。
以来、在特会と友好関係にある団体のデモに参加してきた(彼自身は在特会には未入会)。しかし同年12月、在特会会員などが京都朝鮮第一初級学校に押し掛けた事件を目の当たりにし、「すさまじい負の情念に飲みこまれそう」になり、距離を置くことにした。なぜなら在日の友人できたことで、
「在日に石を投げてレイプしてもかまわないという発言をした男がいた。彼とは食事をしたこともある」
など、知った人間が知った人間に対して危害を加えようとしていたことが耐えられなかったからだ。
そんな彼に対しては、「よく話した」という意見がある一方で、「なぜ今まで黙っていたのか」「公の場での告白の前に、関係者に謝罪するべきでは?」などの意見も見受けられた。メディア関係者が集まる場での告白を、わざわざ選んだ理由は何か。
「本来であれば告白よりも謝罪が優先されるべきなのは理解している。それでも公の場で話せば、どんなデモでどんなことが起きているかを、多くの人が知ることになる。そうすればこんなことを、1日でも早く止めさせられるのではないかと思ったからです」(30代男性)
今後についてたずねると、「今まで過去を明かさないまま関わってきた人たちにはきちんと謝罪をしたい」こと、そして「京都朝鮮第一初級学校の関係者には然るべき時と場所で、改めてお話とお詫びをしたい」ことを明かした。なお2010年9月から始まった、京都朝鮮第一初級学校が在特会会員らを訴えた裁判は、今年の6月13日に決審が予定されている。