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伊勢神宮の遷宮 建物を作り直し小物も新調し事業費550億円

「お伊勢さん」として親しまれる三重・伊勢神宮(正式名称は神宮)は、1つの神社のみならず、伊勢の地に鎮座する125社もの神社の総称である。特に内宮と呼ばれる皇大神宮に祀られている天照大御神は、日本人の総氏神であり、皇室の先祖神でもあり、由緒ある神社なのだ。

 伊勢神宮は、今年10月に、20年に1度の「式年遷宮」を迎える。式年とは「決まった年」の意。今年で62回目を迎えるが、690年に始まり、戦国時代の一時的中断を除けば、1300年の長きにわたり続けられてきた。

 なぜ、20年に1度なのか。伊勢神宮が運営する観光施設『せんぐう館』の小堀邦夫館長がこう解説する。

「諸説ありますが…遷宮には莫大な費用がかかります。当時、遷宮のために税を課していましたが、貨幣が流通していない時代ですから稲穀類で集めました。この最長貯蔵年が20年と決められていました。稲穀類を蓄積したものが税で、これを集めるために20年に1度の大きな計画が実行されてきたのです」

 そして、この遷宮の最大の特徴は、「一からすべて新しく造りかえる」ところにある。敷地内にある大小合わせた60もの建物総てを造り直すだけでなく、1600点に及ぶ刀や着物といった小物まで新調するのだ。その事業費、実に550億円にのぼる。今回は、2005年5月の神事を皮切りに、丸8年の準備期間が設けられた。

 前出・小堀さんは言う。

「また、お宮を新しくすることで、“神様に、より強いお力を持っていただく”という意味もあります。御祭神である天照大御神は、八百万の神々に調和をもたらす神であり、皇祖神でもある。古代の日本人は、神様とともに生きてきました。天照大御神の力が強まれば、その子孫である天皇陛下に対する国民の信頼も大きなものになると考えられたのでしょう」

 伊勢神宮にのみ置かれる、天皇の代理として祭事を行う“祭主”を現在務めるのは、昭和天皇の四女・池田厚子さん(82才)だ。さらに、今回の遷宮に備え、2012年4月から天皇陛下の長女・黒田清子さん(44才)が臨時祭主に就任した。10月の遷宮にも補佐役として参加するとみられている。

※女性セブン2013年5月23日号

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