きんは100シャア、ぎんも100シャア」−−そんな名セリフで日本中を沸かせた双子の100才、きんさんぎんさん。あれから20年が経ち、ぎんさんの4人の娘たちも今や平均年齢94才、母親譲りのご長寿だ。現在、4人の生活費は基本的に年金頼みだが、はたしてそれだけで足りるのか。足りない場合、100才まで生きるとすれば、いったいいくら貯金しておけばいいのか—今回、4人はお金について語り合った。
千多代さん(三女・95才):「私は23才で結婚したんだが、子供をひとりも授からんかった。だから、老後は他の人みたいに子供を頼れん。旦那のほうが早く亡くなるだろうし、これは自分でしっかりせにゃあ、と思ってずーっと節約してきたの」
千多代さん夫婦は30代のころから蓄えてきたお金を元手に、40年ほど前、50才のころ土地を買い、小さいながらもアパートを建てた。夫は15年ほど前に亡くなったが、年金にくわえてこの家賃収入が千多代さんの家計を支えている。
千多代さん:「こういうと誤解されるかもしれんがな、子宝に恵まれんかった私は“お金が子供”だと思うようになったんよ。お金が私の面倒を見てくれる。みんな、“年をとったらお金なんていらない”なんて、きれいごとを言うけどにゃあ、お金がないことには誰も生きていけんよ」
千多代さんの話に、百合子さん、美根代さん(五女・90才)も「そうそう」と大きくうなずく。
百合子さん(四女・92才):「今の世の中、みんな健康、健康で、長生きすることばかりに目がいっとるけど、私らみたいに年金暮らしが30年、40年続いたらどうするがね。老後の家計のことも真剣に考えんといかんよぉ」
老後を迎えた夫婦の主な収入源といえば、国からの年金。ところが、高齢者夫婦の1か月あたりの収入をみると、平均で22万円程度しかない。高齢者夫婦の1か月の生活費の平均額である約26万円(内訳は、食費約6万円、衣服費7000円、医療費1万5000円など)とくらべると、約4万円の赤字となってしまう。
つまり、平均的な高齢者夫婦の家計は年間約50万円の赤字であり、夫婦が90才まで30年間の老後を生きるとすれば、「年間赤字額50万円×30年間=1500万円」の蓄えが必要ということになるのだ。仮に、夫婦が100才まで生きるとすれば、老後の生活は40年間で、なんと約2000万円の蓄えが必要となる。
この厳しい現実に、姉妹たちはどう対処してきたのだろうか。
家賃収入がある千多代さん、息子夫婦と暮らしている美根代さんは経済的に安定しているが、ひとり暮らしの百合子さんはといえば――
百合子さん:「私は自分の国民年金(1か月の平均5万円程度)と、亡くなった旦那の遺族厚生年金がほんの少し入ってくるくらい。だけんど、贅沢さえしなきゃあ、どうにか赤字にならんですむから、幸せに過ごせとるよ」
新たな伴侶を探すという手もあったが…。
百合子さん:「なに、熟年再婚? そんなもん、再婚すると、亡くなった旦那の遺族厚生年金が受け取れなくなるから考えたこともないがね。それに、年をとってから再婚しても、新しい旦那は数年たったらあの世だよ。わざわざ葬式あげるために再婚する必要はないがね(笑い)」
※女性セブン2013年5月23日号