地震大国の日本において、最も切望されている科学技術が「地震予知」である。
しかし、地震学者らが長年にわたって研究を続けてきたにもかかわらず、いっこうに実現には至らない。
1970年代後半から毎年100億円単位の地震調査研究関連の予算が投じられ、1995~2012年の累計額は約3600億円に達するが、成果は皆無に等しいといわざるを得ないのが悲しき現状だ。
そんななか、「大地震には必ず前兆現象がある」と言い切り、地震予測を発表している人物がいる。東京大学名誉教授で、測量学の世界的権威である村井俊治氏だ。
村井氏が顧問を務める民間会社JESEA(地震科学探査機構)は今年1月に設立。2月から会員向けにメールマガジンを開始した。 そして、毎週木曜日に送るメルマガで近畿地方に地震の予兆が掲載されたのは、4月11日が初めてだった。
「前兆なし」が並ぶなか、和歌山県に「小地震の可能性あり」と記載され、地図上では和歌山県北部の海側に斜線が入っている。この2日後の4月13日に、淡路島で震度6弱の地震が発生したことは記憶に新しい。
場所にも震度にも誤差があり、「的中」とは断言しがたいが、「M8クラスの大地震が起こる確率は○年以内に○%」といった従来の予測に比べれば、かなり精度が高いのはたしかだ。
「会員の方からは、淡路島と和歌山県北部くらいの誤差なら十分役立つという声と、場所も規模も違うじゃないかというお叱りの声の両方がありました。現状ではピッタリ当てるのは難しいが、“地震はない”といって多くの犠牲が出るよりはずっといいと思います」
と村井氏。その後の三宅島地震(4月17日・震度5強)も、3週間前に「伊豆大島に起きる」と予測していたという。
※週刊ポスト2013年5月24日号