野田秀樹(57才)と三谷幸喜(51才)の初共作として、公演前から話題になっていた舞台『おのれナポレオン』で、軽度の心筋梗塞で緊急入院したヒロイン役の天海祐希(45才)の代役として舞台に立った宮沢りえ(40才)。稽古の時間はわずか2日半だったが、全くのノーミスで演じきった。しかし、代役が決まってからの稽古の様子はまさに修羅場だったという。
5月8日未明、りえは台本を受け取ると、すぐにセリフ覚えに集中し息つく間もなく稽古が始まった。しかし当然のように、そう簡単には進むはずもなかった。
「天海さんと宮沢さんでは、体格も雰囲気も違うから台本の変更が多かったんです」(芸能関係者)
天海の背の高さをネタにしたセリフは、りえの巨乳をネタにしたセリフに。役作りを深める時間がないため、笑いどころを増やし飽きさせない工夫を随所にほどこした。また、りえのセリフ自体を減らした分、他の出演者のセリフもぐんと増えた。
遅々として進まない稽古に、「こんなんで間に合うのかよ!」「やっぱり無理じゃねぇか!」と現場では時に怒声が飛び交うこともあったという。だが、りえは何も言わずじっと耐え、懸命に稽古を続けた。
しかし、当初再開が予定されていた9日の夜公演にはさすがに間に合わず、中止が決定。9日の午後1時からはりえの別の出演舞台『盲導犬』の製作発表会見があったが、午後からの練習時間を確保するために、その会見は同日の午前11時からに変更された。そこでりえは代役への意気込みなどを報道陣から聞かれたが、ノーコメントを貫いた。
「実はこの日の午後の稽古の出来次第で、公演が続行可能なのか、再度検討することになっていたそうです。宮沢さんは“絶対にあきらめない”といった様子でしたね。近づくのも怖いくらいで鬼気迫るものがありました」(前出・芸能関係者)
結果は、再開決定。みんなが一丸となって、舞台成功へと走り始めた。りえはその夜、深夜近くまで劇場にこもり、帰宅してからも寝る間を惜しんで練習を重ねた。そして翌朝、これまで欠かすことのなかった娘の幼稚園への送りを知人に頼み、劇場へ。始まる直前ギリギリまで稽古に取り組んだ。
そして迎えた本番。みんなが固唾を呑んで見守る中、りえは周囲の期待をはるかに上回る完璧な演技をしてみせた。千秋楽までの4公演は毎回超満員で、大きな喝采を浴びた。
スタッフとキャストは幕が下りた瞬間、その場に倒れこむほどだったという。りえとのやりとりが多かった山本耕史(36才)は、3日3晩寝ておらず、終演後の仕事をキャンセルすることになったほどだ。
※女性セブン2013年5月30日号