JR予讃線の今治駅を出ると、目の前に飛び込んでくるのは、腹巻きをした黄色い鳥のようなキャラクター像。その周囲には人だかりができ、観光客が記念撮影に興じている。
これは、愛媛県今治市のPRマスコットキャラ・バリィさん。今治名物の焼き鳥にちなんで作られたゆるキャラで、昨年11月に行われた『ゆるキャラグランプリ2012』で見事1位に輝き、くまモンやひこにゃんと並ぶ人気を誇っている。そんなバリィさんに、あるトラブルが浮上している。今治市民がこう明かす。
「バリィさんは、商標権が市ではなく、生みの親である『第一印刷』という会社にあって、市民や地元商店街、企業がPRとしてバリィさんを使おうと思っても、同社の許可が必要で、さらに使用料まで支払わなければいけないんです。しかもこの事実はグランプリで1位になった後で発覚して、バリィさんを商品化しようとした企業や市民から“これはおかしい”と怒りの声が噴出しているんです」
そもそも昨年の『ゆるきゃらグランプリ』では、市長や県知事らがバリィさんへの投票を街頭で呼びかけ、それに市民が応えたことで1位になったという経緯がある。
「“大きな町興しになる”って期待して投票したのに、いざ市民が使おうとするとまったく自由に使えないうえに、お金までかかる。完全に騙された気分ですよ…」(別の今治市民)
ちなみに、熊本県のくまモンは熊本県が著作権・商標権を持ち、県の許可があれば無料で使用できる。バリィさんの生みの親である第一印刷に話を聞くと、同社のキャラクター事業部がこう答えた。
「確かに、“なぜ自由に使えないのか”という不満の声は届いています。しかし、市の管理にすることは考えていません。そもそもくまモンとはスタートが違うんです。一企業であるわれわれがバリィさんを作り、それが流行り出してから市と県が後から乗っかったという形なので…」
もともとバリィさんは今治地方観光協会のHPを管理していた第一印刷が、4年前にその観光協会のHP用キャラクターとして作ったものだという。
「やはりわれわれも企業なので、グッズ販売と著作権管理は自分たちでやって利益にしよう、という結論になりました。その代わり、関連商品についてはひとつひとつ吟味しながら、クオリティーを保っています。なんでも自由にOKしてしまうと、粗悪品の乱造に繋がってしまいますから。お菓子にしても、試食させていただいた上で味に注文もつけさせていただいております」(前出・キャラクター事業部)
※女性セブン2013年5月30日号