今、美や健康に敏感な女性の間で“基礎体温”が見直されている。妊娠や避妊のために測るイメージの基礎体温だが、実は女性の美やアンチエイジングにもお得な情報の宝庫らしい。測った体温をスマホに転送してグラフ化できる“基礎体温計付きアプリ”も新たに登場し、話題になっている。
「基礎体温は、女性ホルモンの変動や、月経周期、排卵しているかなど、女性特有の体のリズムがわかる。自分の体を知るためのもっともお金がかからない方法なんです」
こう話すのは、慶應義塾大学医学部産婦人科教授の吉村泰典さん。
「基礎体温は月経周期によって変動し、周期が整っていれば、グラフが低温と高温の2層に分かれます。月経周期が28日の場合、月経開始から排卵までの14日間が低温期。この時期は、女性ホルモンのひとつ“エストロゲン”によって、肌や体の調子がよく、活動的になるなど気持ちも充実します。
基礎体温がいったん下がった後、急激に上がるころに排卵が起こり、高温期に移行します。高温期には、妊娠を維持するための“黄体ホルモン”が分泌され、イライラしたり、むくみ、胸がはるなど、月経前症候群が起こることも」(吉村さん)
ただし、この周期とその特徴は、閉経が近づく更年期になると変化する。
「女性ホルモンが減る更年期は、月経周期が乱れ、低温期がだらだらと続いたり、高温期でも基礎体温が上がりきらなかったりと、定期的に排卵しなくなっていきます。排卵がないのに出血が起こったら、月経ではなく不正出血。子宮頸がんや子宮筋腫の早期発見にも役立ちます。また、思春期の娘さんがいるなら、基礎体温はつけさせたほうがいい。低温期がずっと続く無排卵や無月経は、将来、骨粗しょう症や生活習慣病につながる恐れも」(吉村さん)
グラフを付けるのが面倒な人は、基礎体温計付きアプリを活用するのが手。基礎体温計で測ったデータをスマホに転送するだけでグラフ化されるなど、次々と新たなサービスが登場している。
「基礎体温計は、枕元に置いておき、朝起きてすぐ布団の中で測ります。脇は汗で体温が変動するので舌の下がベスト。一般的な体温計で測るより高めの人が多く、通常36~37度の1度間を上下しています。基礎体温計は、小数点第二位までの微妙な数値まで測れるようになっています」(吉村さん)
基礎体温を測ったら、PCやスマホの便利なサービスを利用して記録しよう。たとえば、会員登録すると東芝製の小さな基礎体温計が届く『キレイ℃ナビ』(楽天、アプリ月額170円)といったサービスがある。『キレイ℃ナビ』には体調にあわせた美容法などを教えてくれる機能もあり、PCからもスマホアプリからも気軽にチェックでき、体温計つきサービスとしては最安値だ。
他にも、サイトへ登録して生理周期から排卵日を予測できる『ルナルナ』(エムティーアイ、サイト月額189円)や、10秒で体温を測れる手軽さが便利なオムロンの婦人体温計(6月1日発売予定)と連携する『カラダのきもち』(ドコモ・ヘルスケア、アプリ月額315円)がある。
基礎体温を知ることは、女性の美や健康にどんなメリットがあるのか? 美容・医療ジャーナリストの宇山恵子さんに話を伺った。
「基礎体温から、美容や運動などベストなタイミングがわかります。低温期は、美肌ホルモンともいわれるエストロゲンによって、肌の調子がよくなり、やる気がでる絶好調期。運動やダイエットはこの時期に始めると効果が出やすい。また、新たなエステやスキンケアに挑戦すると美肌効果もアップ。同じお金を払うなら、結果が出やすい低温期がお得です。
一方、心も体も不調になりがちな高温期は、むくみやすいのでダイエットは控えて。エステに行くなら、むくみ解消やアロマなど癒し系がおすすめ。イライラして怒りっぽくなるので、夫への不満も募りがち。ゆったり過ごし、お気に入りの香りなどでリラックスして。“いま高温期だから”とイライラの理由がわかれば、夫婦関係も良好に保てるかも。
また、基礎体温を測り続けることで女性ホルモンが減ってくる更年期も把握できます。グラフの乱れが続いたら、更年期かも。女性ホルモンの働きを整える食材を多く摂るなど、更年期を前向きに乗り切る準備期間と捉えることもできます」(宇山さん)
基礎体温が美と健康の鍵に。今すぐ測らなきゃ損!?