就職難が続く中、就活で苦戦するのはどんな学生なのか。企業研究不足、自己PRがうまくできない、面接であがってしまう……など様々な要因が考えられるが、今春、大手IT系企業の内定を獲得した東大大学院生サガワ氏(24歳)は、「就職に苦戦するタイプ」の人間を次のように分析する。
「自分が就職活動を経験した中で、確信したことがひとつあります。それはいわゆる『ロキノン系男女』が、こぞって就職活動に苦戦しているということです」
彼の言う「ロキノン系」とは、ロック系音楽の月刊誌『ROCKIN’ON』や『ROCKIN’ON JAPAN』に登場するバンドやアーティストの総称だ。これらのバンドを好んで視聴するファンのことを、「ロキノン系男子(女子)」と呼ぶという。
テレビの音楽番組、メジャーチャートなどのマスメディアへの露出が少なくロックフェスなどを中心に活躍していることが特徴だが、サガワ氏も「ロキノン系男子」の一人で、自身もバンド活動をしているという。
「ロキノン系を好きな人間って、基本的に“自分らしさ”とか“感性”、“自分の世界観”とかを重視する人が多い。ロキノン系の曲を聴いて、『これは俺のことを歌ってくれてるんだ』と自己投影するタイプです。
自分の周りのロキノン系人間を見ていると、やっぱり学生時代に、勉強・恋愛・友情・部活とか、普通のレースから降りて、別の軸で評価されたいという願望からバンドサウンドにハマっていった人が多い。女子の場合は、そういう彼氏からの影響でハマったという子が大多数ですね」(サガワ氏)
では、なぜ「ロキノン系」が就活に苦戦する傾向があるのだろうか。サガワ氏が続ける。
「就職活動で大切なことの一つに、企業の理念とどう折り合いをつけるかということがあります。普通の学生ならば『会社の理念のここは理解不能だけど、職を得るためには仕方ないか』と譲歩しますよね。こういう諦めとか我慢も、内定のためには重要。
しかし、さっき言ったような自己陶酔系ロキノン男子は『これは自分の感性・世界観に合ってない!』などと思いがちなんです。『俺の理想とは違う』と就職活動もグダってしまい『ろくな企業がない』という不平や不満に繋がる。
でも面白いことに、少しでも自分に合った理念の会社を見つけると『ここが運命の会社だ!』と早合点して突っ走ってしまう(笑)。猪突猛進で内定をゲットしたとしても、結局あとからちょっとしたズレを見つけると『あれ、俺が思っていたのと違う』と一気にモチベーションが下がり、しまいには退社を選ぶなんていうケースもあります」(同前)