4月から全国15の機関で臨床研究として新・出生前診断が始まった。これは、妊婦の血液を検査すれば、ダウン症などの原因となる胎児の染色体異常がわかるというもの。その精度は99%以上といわれている。
これまでにも、出生前に胎児に異常がないかを診断する方法はあった。超音波検査、羊水検査、絨毛検査など。これらの精度や母体への影響などは一長一短。その点、新しい方法では、採血だけで高精度に診断できる。
ただし、この新・出生前診断は、希望すれば誰でも受診できるというわけではない。検査の対象は主に、出産時に妊婦が35才以上となる場合。
なぜ35才以上なのか。20代後半から卵子が老化し、その影響が表れ始めるからだ。胎児に染色体異常が見られる可能性が高くなる。母親の年齢が25才の場合、ダウン症の子供が生まれる確率は1040人に1人なのに対して、35才になると295人に1人に急増するというデータもある。また、母体の年齢が上昇すると流産率も上昇し、40才で約40%という報告もある。
新・出生前診断は、年間1000名程度という利用予測を大きく上回り、すでに1か月間で441人が受診したと報じられている。
検査機関のひとつ、昭和大学医学部の関沢明彦教授は、ニーズの多さをこう語る。
「検査を受けたのは、全国15の研究施設で、平均年齢は38、39才。4割くらいは、不妊治療の末に妊娠をしたかたですね」
現在のところ、新・出生前診断を受けた441人中9人に異常が推定される陽性反応が出て、うち2人は、胎児がダウン症であることがわかったという。
※女性セブン2013年5月30日号