現在、プロ野球界では交流戦が行われており、選手たちは慣れぬ球場、慣れぬ相手との対戦を強いられている。しかし、大変なのは選手だけではない。用具係にも交流戦ならではの苦労が存在する。用具係を25年以上も勤め上げている“伝説の用具係”、ソフトバンクの金岡信男氏が語る。
「パ・リーグではユニフォームに広告をつけることが認められていますが、セ・リーグでは禁止。従って交流戦では、ホームゲームでは普段のユニフォームのままでいいんですが、セ球団の主催試合では広告を外さなければならないんです」
最近はこの広告関係のトラブルが起こりやすい。
「以前、ある投手が広告をつけないで登板し、その姿でスポーツ紙の一面に載って大問題になったことがあるんです。球団から電話があって、ついてないぞと指摘されたことも何度かある。反対に、つけてはいけない時についていて、慌ててガムテープで隠したこともありました」(金岡氏)
広告の規制は二軍も同様。ソフトバンクが属するウエスタンリーグでは広島、中日、阪神、オリックスが相手で、パは1チームだけ。そのため広告は外してプレーすることが多いが、
「一軍の選手がファーム落ちしたり、二軍の選手が昇格したりで入れ替えがあるとトラブルになりやすい。スポンサーの方にはせっかくお金を出していただいているのだから、失礼があってはいけない。ただ、選手に細かいことをいって余計な負担をかけたくはない。だから裁縫道具を用意しておいて、何かあったら私が対応します」(金岡氏)
※週刊ポスト2013年5月31日号