「65歳定年」と聞いて、「働き慣れた職場で5年長く働けて、安定した老後を送れる」と安穏と考えるのは大きな間違いだ。実態はかつてない様々な困難が生まれている。経営コンサルタントの岩崎日出俊氏が解説する。
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60歳を迎えた後も会社に残るのは茨の道だ。どうせ慣れぬ仕事で苦労するのなら、会社にしがみつくのではなく、個人事業を始める準備をすることも選択肢として考えておくべきだ。
60歳前後で起業し、ある程度成功した人たちの例を見ると、前職のノウハウを活かした分野で活躍する人が多い。証券会社勤務の人が金融コンサルタントとなる、といった具合だ。
会社と自分の関わり方を見つめなおし、「会社は自分のやりたいことを実現するためのプラットフォームを提供しているにすぎない」と意識を変えることが重要になる。
社内営業よりも自らのスキルアップに重きを置く。自分の仕事が社内ではなく市場でどれだけ評価されるかを常に考える。
そうした「実力主義へのマインドシフト」が、定年後への準備になる。自分の能力を磨き続けた者が、いつ退職しても起業できる実力を身につけることができる。
60歳定年も65歳定年も、国や企業が敷いたレールだ。今や人生は80年、人によっては90年ある。充実した老後を過ごすためには意識転換が必要だと気付くのは、早ければ早いほどいい。
※SAPIO2013年6月号