政府は、妊娠や出産の正しい知識を啓発するための「生命と女性の手帳」(仮称、通称・女性手帳)の導入を検討している。この女性手帳に疑問をぶつけているのは、大阪国際大学准教授の谷口真由美さん(38才)だ。
「生殖って1人でできると思ってんの? って。基本はつがいにならないと子供はできないわけです。にもかかわらず…。その傲慢な立ち位置がものすごく腹立つんですよ」
と語る谷口さんは、昨年フェイスブック上で“結党”され、現在2100人の党員を持つ「全日本おばちゃん党」の代表代行を務めている。同党の党員は「おっさん政治劇場に嫌気が差した」と、おばちゃん目線で政治や社会にモノを言う活動をしている女性たちだが、「女性手帳」に対して、“ノー”の声をあげた。
「不妊の原因って、男性が原因なのも4割はありますからね。女の側だけに問題があるのとちゃうわ!ふざけたことぬかすな!いう気分です。面倒くさいことやしんどいことは、なんでもかんでも女性に押しつけて、本当に腹の立つことですよね」(谷口さん)
同党では「女性手帳」を作るというなら、一方で、〈女性の負担を少しでも軽減するために、家庭内においては家事・育児を応分に負担することはもとより、(中略)あらゆる環境整備に全力を尽くすことが男性には求められています〉などと綴った「男性手帳」も作ったらどうか?とイヤミで返す。同時に、「啓発重視の女性手帳を配布するのは税金の無駄であり、それよりも、学校での性教育の充実や出産しやすい社会環境の整備をしてほしい」と要望している。
民主党政権時代に厚生労働大臣を務めたフリージャーナリストの小宮山洋子さん(64才)も、「政府は、高齢出産の危険性を煽って、女性だけに対して『たくさん産め』と言っているように見えますが、これは非常に危険なことです」と指摘する。
3月には、菅義偉官房長官が会見で、出生率に数値目標を導入することを「一つの考え方」と述べている。これについても「ちょっと違う」とやんわり。
「結婚や出産は個人の判断のはずなのに、それでは戦前の国が富国強兵のためにスローガンとして掲げた『産めよ殖やせよ』みたいになってしまいますよね」(小宮山さん)
※女性セブン2013年5月30日号