ファンがその姿を球場で見かけることはないが、プロ野球チームには多くの裏方がおり、彼らがチームを陰から支えている。用具係もその内のひとり。彼らは言葉から想像できる仕事だけでなく、実に多岐にわたる業務に従事している。
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試合開始前、まだ誰もいない横浜スタジアムで、黙々と作業をする1人の男がいた。彼の名前は入来祐作(40)。1996年のドラフト1位で巨人に入団した彼は、現在横浜の一軍用具係を務めている。
本塁近くに打撃ケージを運び、マウンドや内野には打球を避けるための防護ネットを設置。この後始まる練習に備えた準備を進めていく。この日のプレーボールは18時、ホームチームの全体練習が始まるのは14時。だが、彼は正午にはすでに球場入りしていた。
「選手が練習を始める2時間前にグラウンドに来て準備するのが基本です。早出する選手がいると、それだけ前倒ししないといけないですけどね」
試合終了後も業務がある。ホーム球場の場合、残って練習する選手がいることもあるので、そのための準備。遠征に出る場合は、選手や球団の荷物の積み込みチェックも行なう。
「遠征で選手自身が持って行くのは私物とグラブ、バットくらい。ヘルメットも1つは個人で持って行くのですが、遠征が続き、ホーム、ビジターと2個必要になる場合、1個は球団が運びますね」
用具係が球場を後にするのは、選手の退出に比べていつも1~2時間後だ。入来氏もこの日の前日、横浜が地方でナイターを行なっていたため、深夜12時過ぎに荷物が搬出されたのを確認してから就寝。始発の新幹線で横浜に戻ってきていた。
※週刊ポスト2013年5月31日号