5月15日、フジテレビは新しい代表取締役社長に亀山千広・常務取締役(56)が就任すると正式発表した。亀山氏といえば『踊る大捜査線』のプロデューサーを務め、ドラマ・映画共に大ヒットをもたらした人物だ。
では、亀山体制がスタートすれば、フジの視聴率は上向くのだろうか。現場では期待と不安が入り交じっている。ドラマ制作にかかわる社員がいう。
「大多亮さん(常務取締役で『東京ラブストーリー』など数々のトレンディドラマをヒットさせた制作のトップ)は、現場にどんどん口を出してきた。
たとえば開局50周年ドラマ『わが家の歴史』(2010年)では、脚本の三谷幸喜氏にラブシーンの書き直しを命じ、三谷氏を憤慨させたほどです。一方の亀山さんは、現場の仕切りにはほとんど口を出さない。だからスタッフが自由にアイデアを出せるのではないかという期待感があります。
そもそも『踊る大捜査線』のヒットは亀山さんだけの手柄のようにいわれますが、アイデアに関しては脚本の君塚良一氏の貢献が大きかった。亀山さんは、スタッフの力を吸い上げることに長けた人なんです。それがいい方向に出ればいいが……」
懸念されるのは、亀山氏が栄光のリバイバル頼みで社長レースから脱落した「大多氏の二の舞」を演じないか(W浅野を復活させて『抱きしめたい!』をやろうと言った)ということだ。
「亀山さんが社長になれば、織田裕二主演のドラマを連発するんじゃないかという話が早くも出てきている。しかし映画『アマルフィ』がコケるなど、昔の勢いはない。かつての成功を追い求めるような手法を使うようなら、また同じ失敗となりかねない。そうなるともうフジテレビの再浮上はないでしょう」(前出・ドラマ部門社員)
もっと批判的な声もある。
「誰が社長になっても、20年以上続いている日枝さん(久・会長)の独裁体制が終わらない限り、この局の体質は変わらない。結局のところはイエスマンばかりなんです」(ベテラン社員)
※週刊ポスト2013年5月31日号