首都圏の新たなランドマークとして観光客に人気の東京スカイツリーが、5月22日に開業1周年を迎えた。開業当初は運営する東武鉄道の関係者でさえ、「秋以降には来場客数が落ち着くのでは?」と予想していたが、賑わいは一向に衰えず嬉しい悲鳴をあげている。
地上350メートルにある展望デッキ「展望回廊」への来塔者数は、ツリーの高さの数字と同じ634万人に到達。商業施設「東京ソラマチ」などを含めた累計の来場者数は5000万人を突破した。いずれも東武の目標数字を大幅に上回る記録だ。
あまりの盛況ぶりに、訪れる機会をうかがっている人もいる。
「都内に出掛けるのに、いつもスカイツリーが望める水戸街道(国道6号)はクルマで通っているのですが、それ以上ツリーに近づくことはありません。家族とは、もう少し空いてから展望デッキに行こうと話しています」(千葉県在住・40代会社員)
では、実際に混雑状況はどうなっているのか。これまで子供を連れて展望デッキほか、ソラマチ内にある水族館やプラネタリウムを何度も訪れているという都内在住の30代主婦がいう。
「平日に行けば1時間以内で展望デッキまで行けますが、天気の良い土日や祝日は最低でも2時間、長ければ5時間待ちの場合もあります。混んでいるときは整理券が配られて時間までソラマチなどブラブラすることができます。ただ、指定時間に行ってもチケットセンターで30分、それから展望フロア行きエレベーターに乗り込むまでにさらに30分並ぶこともざらです」
展望デッキの入場券はウェブで購入することもできる。ちなみに5月21日現在の予約状況を見てみると、確かに6月中旬まで土曜は「予約枚数終了」、日曜は「残りわずか」となっている。ウェブで予約ができない週末は、現地に行っても当日券が売り出されず無駄足を踏むケースがあるので気をつけたい。
こうしてみると、待ち時間のストレスなくスカイツリーで上空まで行くには、やはり週末や休日を避けたほうが賢明だろう。だが、平日にも意外に混んでいる曜日があるという。スカイツリー周辺を拠点にする地元のタクシー運転手が話す。
「平日でも午前中は混む傾向にあります。特に月曜の午前中はかなり待ち時間が長い。遠方から泊まりで訪れるお客さんは、土日は混むだろうからと月曜まで休みを取っている場合が多いからです。月曜の午前に行くぐらいなら、日曜の夕方以降のほうが余程空いています。夜景もキレイですしね」
残念ながら、チケットを取れなかったり待ち時間の都合で“東京パノラマ”を拝めなくても、ガッカリするのは、まだ早い。
「ツリーに隣接するオフィス棟(イーストタワー)は30階と31階がレストランになっていて、そこまでは誰でも無料で上れます。そこからの見晴らしも十分眺めがいいですよ」(前出・タクシー運転手)
また、自家用車で訪れる人の中には、「駐車場が一杯で停められないはず」と勝手な思い込みをして、わざわざ遠くに駐車して電車で来る人も多いが、同運転手は「これまで施設内の駐車場が満車になっているのは、2、3回しか見たことがない」という。
「スカイツリータウンの立体駐車場が意外に空いているのは、1時間700円と料金が高く、長時間停めたら出費が大変だから。そういう意味では、離れた場所の安いコインパーキングを探して、そこからタクシーで来たほうが経済的です。でも、そんなにツリーから離れなくても1キロ走れば半日停めても最大1000円台のパーキングは点在しています。オススメは四ツ目通り(墨田区業平から江東区東陽までの道路)沿いです」
昔からタクシー運転手が勧める店に外れはないと言われる。最後にソラマチ内のイチオシ店舗を聞いてみた。
「ソラマチは従来の観光地とは一線を画し、<新・下町流>をコンセプトに地元で愛される店も多い。上野発祥で“バクダンあられ”などが有名な『二木の菓子』や、“まぐろぶつ”が安い『錦糸町魚寅』などがそう。また、地下にあるスーパーでは新鮮な野菜もたくさん売っていて、近隣住民がスーパーとして利用するほど。観光客でネギをぶら下げてタクシーに乗り込んでくる人までいますよ(笑い)」
地元のリピーターをも囲い込み、ますます活気づくスカイツリー。混雑をうまくすり抜け、下町情緒あふれる穴場スポットで東京の新名所を思いっきり堪能したい。