「世界同一賃金」の構想を、ファーストリテイリングの柳井正会長が4月23日付の朝日新聞に掲載されたインタビュー記事において明らかにしたあと、各方面からの批判が止まない。離職率が高すぎてまるでブラック企業だと批判されるユニクロについて、大前研一氏がその実相を解説する。
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私は柳井さんと『この国を出よ』(小学館刊)という共著を上梓し、経営者として尊敬もしている。しかし、柳井さんが真にグローバル企業を目指すなら、今回のような問題を軽々に発言することは慎まないといけない。また、こうした“構想”レベルの話を1・2面と経済面で大々的に報じた朝日新聞(4月23日付)の見識についても、大いに疑問である。
しかも、朝日新聞は経済面で「ブラック企業批判は誤解」という見出しで柳井さんのインタビュー記事を掲載した。近年高まっている「ブラック企業」批判について問い質したという姿勢だが、そもそもファーストリテイリングはブラック企業でも何でもない。
新入社員の3年以内離職率が5割前後で推移していることが問題視されているが、それは入る側の調査不足から起きるミスマッチであり、もともとアパレル会社というのはGAPであれ、H&Mであれ、ZARAであれ、他の日本企業であれ、世界中どこでも同じような労働環境だ。それを踏まえず、安易にブラック企業というレッテルを貼る昨今の風潮がおかしいのだ。
※週刊ポスト2013年5月31日号